
国立循環器病研究センターの豊田一則氏
脳梗塞再発抑制には抗血小板薬が汎用されている。しかし、抗血小板薬には出血性合併症といった副作用が存在するため、患者の病態を把握した上で慎重に投与する必要がある。そこで、リスクとベネフィットを考慮した脳梗塞再発抑制の治療戦略について、国立循環器病研究センターの豊田一則氏(写真)にうかがった(日経メディカル別冊)。
■日本人は頭蓋内動脈に起因する脳卒中が多い
脳卒中は、本邦における死因としては癌、心疾患についで第3位ですが、寝たきりの原因としては圧倒的なトップを占めているため、重要な社会的疾患と言えます。
日本人の脳卒中の特徴は、欧米人と比較して脳出血が多いことです(図1)。一般的に、欧米人は頭蓋外動脈に起因する脳卒中が、日本人は頭蓋内動脈に起因する脳卒中が多いことが知られています。近年、生活習慣の欧米化によって日本人の脳卒中も欧米型に近づきつつありますが、依然として、頭蓋内動脈に起因する脳卒中が多いのが現状です。