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「なかなかよくならない喘息」は本当に喘息?

2019/11/14

 朝夕も冷え込むようになり、心地よかった秋から、冬が見えてきました。呼吸器内科で診療をしていると、四季の移ろいを肌で感じます。春に花粉症や喘息発作が続いたあと、梅雨になれば気胸や縦隔気腫が増え、夏には冷房機器に伴う肺炎や喘息発作を来しやすくなり、秋の花粉を乗り切ったかと思えば、最大の山場である冬がやってきます。

 今回は症例をいったんお休みして、この時期に増える相談ごとを取り上げさせてください。つい先日も後輩の医師から電話がかかってきました。「ご高齢の喘息患者さん、薬剤を追加しても改善しないんです」。なかなかよくならない喘息、皆様も一度は出会ったことがあるのではないでしょうか。

 喘息は頻度の高い疾患ですので、症状や病歴で診断することも多いかと思います。気をつけなくてはならないのが、喘息を想起させる咳や喘鳴というのは、ほかの疾患でも出やすいということです。「なかなかよくならない喘息」は、薬を増やしていく前に、「本当に喘息?」と振り返ってみたいところです。

 とりわけ、高齢者の喘鳴と言えば心不全や肺水腫、胸水、COPD増悪、肺炎、気管支炎、肺癌、気道異物など、鑑別は多岐に渡ります。高齢になって初めて発症する気管支喘息というのは、実はそう多くない気がしています。急性呼吸不全のため入院になる高齢者のうち、喘息発作はわずか1.9%という報告もあります(Ray P, Crit Care.2006)。初期診断を誤れば経過に影響するため、高齢者の咳や喘鳴をみたら、診断を冷静に考える必要があります。

著者プロフィール

吉松 由貴(よしまつ ゆき)氏。2011年大阪大学卒。淀川キリスト教病院での初期研修、同院呼吸器内科での後期研修を経て、現職は飯塚病院呼吸器内科勤務。現職の間、浜松市リハビリテーション病院と聖隷浜松病院で嚥下リハビリテーションに関して国内留学。

連載の紹介

吉松由貴の「誤嚥性肺炎、診療の知恵袋」
誤嚥性肺炎は、すんなりと治る病気ではありません。繰り返したり、命に関わることも多いのです。そんな誤嚥性肺炎の診療に、若手医師が日々どのような姿勢で挑んでいるのかを具体例を交えながらつづります。

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