「ウデに自信はないが、皮膚科の患者を増やしたい」
もし、そう考える皮膚科非専門医がいたとして、そんな夢のようなことができるのだろうか?
できなくはない。星の数ほどあろうかという皮膚疾患の中で、一般医が手を出しやすいモノがある。それは、「ざ瘡=ニキビ」である。
ということで、今日は「ざ瘡=ニキビ」のお話をしよう。
ざ瘡患者を診る医師の側からよく聞かれる声には、次のようなものがある。
「ざ瘡は決まったパターンしかないね。おもしろくない」
「年寄り患者ばかりの医院には、ざ瘡の若者なんぞ来ないよ」
「治療中断が多すぎる。医院はコンビニじゃないんだから、きちんと通院してくれないと」
医師としては治療を続けたくても、患者の通院がよく途切れることで有名な疾患、それがざ瘡なのだ。そんな皮膚科医泣かせで有名な疾患が、なぜ一般医にも治療できるのだろうか?
それには、以下のような理由がある。
(1)パターンが一定であり、誤診する危険性が少ない
(2)隠れた重症症例(危険症例)に遭遇することが極端に少ない
(3)治療法がある程度パターン化されており、手がけやすい
(4)ステロイド外用薬は使用しないので、トラブルが少ない
(5)紛らわしい疾患があることはあるが、誤診しても治療が類似しているため、結果としては治ってしまうことが多い
誤診すれども治療は?
「えっ、でも自分は誤診するかもしれない。紛らわしい症例を教えてチョウダイ」という読者のために、ここで症例クイズを出してみよう。これら4つの症例の疾患名はいったい何か?
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著者プロフィール
中村健一(ドクターケンクリニック院長)●なかむら けんいち氏。信州大医学部卒。宇治徳洲会病院、北里大皮膚科、聖路加国際病院皮膚科を経て、1993年におゆみの皮フ科医院を開業。2018年に移転、医院名を変更。著書に『診療所で診る皮膚疾患』『診療所で診る子どもの皮膚疾患』(いずれも日本医事新報社)など。

連載の紹介
【臨床講座】ドキュメント皮膚科外来
患者はヒタイに病名を書いて来院するわけではない。検査結果を待ってじっくり診断する余裕もない。立ち合い勝負の無慈悲な診療科—それが皮膚科である。教科書に載っていない、皮膚科診療における思考過程を再現してみよう。
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