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2/1放送 TBS系『駆け込みドクター』から
駆け込みドクター◆謎の痛みの正体は?

2015/02/12

 今回は「謎の痛み解明SP」というタイトルに惹かれて、「駆け込みドクター」の2時間スペシャルを見てみました。いろいろな種類の痛みを順番に紹介していく番組だろうとは想像されますが、「謎の痛み」として、どんな痛みを持ってくるのかに興味がありました。

 最初に登場したのは、朝起きたときの「鼻の奥の痛み」でした。あー、そうきましたか。これは、いきなり「ドライノーズ(乾燥性鼻炎)」と診断されました。乾燥によって鼻腔内粘膜が炎症を起こした状態です。これには「鼻うがい」が効果的だと。まあ、そうですよね。

 続いては「とてつもない手足の激痛」。「とてつもない」って表現は、分かりやすくていいですね。こちらは、人食いバクテリアなどとも呼ばれる「劇症型溶血性レンサ球菌感染症」のことでした。ご存じの通り、5類感染症ですから、診断したら7日以内に届出が必要です(関連サイト)。進行が早く重症化するという説明とともに、「今までに経験したことのない痛みを感じたらすぐに受診を」ということであっさり次へと進んでいきます。

 次は「朝起きたときに起こった謎の腰痛」です。この痛みの原因は判明しませんでしたが、「プールでの後ろ歩きで治った」んだとか。モヤモヤしたまま、番組は進んでいきます。

 続いてスタジオのゲスト芸能人に「これまでに感じた痛み」を聞いていきます。逆流性食道炎による食道の痛み、坐骨神経痛による右足の付け根の痛み、お酒の飲みすぎによる胃痛、頭痛といった、かけらの「謎」もない、ありふれた痛みを列挙して時間をつぶします。

 で、なぜかさらに脱線し、「長野県はなぜ長寿日本一になったのか」というロケのVTRに進みます。減塩味噌の製造現場を訪れたり、リンゴ果樹園を訪れたり、温泉を紹介したりと旅番組のよう。イミ分からん。

 VTR後に、ようやく「謎の痛み」に戻りまして、「頭痛」だそうです。さて、頭痛の謎ってのは何でしょうか。

 まずは、「片頭痛」と「緊張型頭痛」の違いを説明します。「片頭痛」は血管が拡張すると悪化するので温めてはいけない、逆に「緊張型頭痛」は首や肩を温めるとよくなるということで、対処法が異なることを説明していきます。しかし、番組のMCであるオードリー若林さんは、片頭痛と緊張型頭痛を合併しており、対処が難しいことが判明します。

 そんな難しい頭痛で悩む患者さんが駆け込める場所として、獨協医科大学病院の「頭痛外来」が紹介されます。複数の医師が問診するなど徹底した取り組みをされているようです。頭痛の原因が、急性緑内障であったり、三叉神経痛であったりという事例も紹介されました。

 なるほど、頭痛も色々とあるもんだなあ。……って、「謎の痛み」は、どこに行っちゃったんでしょうか。テレビって、こうやってすぐ話がどこかに行っちゃうんですよね。

 その後、「帯状疱疹」を一通り説明した後、「微小血管狭心症」による胸の痛みの話題を取り上げます。更年期の女性に起こりやすい疾患ですが、検査をしても見つかることが少ないそう。胸の痛みは怖いので「まず循環器内科を受診」と番組では言っていましたが、「原因が分からなかったときに、他科を紹介してくれるとは限らない」とも言っていました。じゃあ、どうすればいいんでしょう。まさか、これが謎ですか?

 最後に、再び「腰痛」です。ラジオでも有名な整体師さんの診断で、仙腸関節の動きが悪くなったことによる腰痛だと判明します。このゲストは、予約1年待ちの人気整体師さんの施術を受け、仙腸関節の動きがよくなって、背骨の固さも解消されたようです。どうも「仙腸関節の動き」とか言われると、怪しい感じがしてしまうのは、私だけでしょうか。

 結局、どれが「謎の痛み」なのかがよく分からず、期待外れでした。あ、プールでの後ろ歩きで治った腰痛は、確かに「謎」かもしれませんね。運動不足が原因だった気もしますけれど。

著者プロフィール

くめ やすはる(薬剤師)●粂康晴氏。京都大学薬学部卒。大手製薬会社に20年以上勤務し、MR、研究開発、内部監査などを経験後に退社。糖質オフにこだわるレストラン「カーボオフ」を埼玉県の大宮にオープンした。

連載の紹介

くめやすはるの「健康番組タメツスガメツ」
テレビの健康番組にあおられて「私もこの病気じゃないかしら」と外来に押し寄せる患者たち。今週、テレビでどんなトンデモな健康番組が放映されたのかを、患者への説明に役立つ小ネタとともに、ご紹介します。

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