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CT読影レポートの見落し、どうすれば防げる?

2018/06/21
中山祐次郎(総合南東北病院外科)

 こんにちは、総合南東北病院外科の中山祐次郎です。今回の「切って縫うニュース」では「千葉大学CT見落し事件」を取り上げたいと思います。

 まずちょっと近況を。わたくし12年目外科医の中山は臨床をいったんお休みし、京都大学の公衆衛生大学院で勉強中です。今月は自分の臨床研究のデザインを発表する会があり、準備に追われていました。私のテーマは、「若手外科医の手術の質は、熟練外科医と比べてどうか」というもの。なんとなく「よしお前やってみろ!」と決めている執刀のチャンスを、もっと科学的に考えたいと思っているのです。言い換えると、「外科教育の標準化、一般化」をしたいのです。

 最近は英語で議論する機会が増えてきました。ハーバード公衆衛生大学院に行かなかったコンプレックスはぬぐえませんが、日本最古の公衆衛生大学院に来ている誇りを胸に、現在居酒屋レベルの私の英語力を議論で使えるように磨きたいと思います。先週はマレーシアの弁護士でもある留学生と、ラーメン屋でsex education(性教育)について議論しました。あんまり大きい声でセックスとかテンガとか言ってたので、ジロジロ見られましたが。

  さて、今回のテーマは大きく報道されたこれ。

「千葉大学医学部附属病院は6月8日、CT検査の確認不足によって診断が遅れた事例が9件あり、うち4件は診断の遅れが治療結果に影響を及ぼしていたと公表」(関連記事)。具体的には、こんな事例があったようです。

 2016年のCT検査時に放射線診断専門医が「肺癌を疑う所見」を指摘していたにもかかわらず、頭頸部腫瘍疑いの患者に全身CT検査を施行した医師は、自らの専門領域である頭頸部のみに注目し、肺の腫瘍を見落としていた。

 うーん。これはありがち……。「他人事ではない」と思った先生も少なくなかったのではないでしょうか。私とて例外ではなく、専門は消化器の癌ですからしょっちゅう全身CTをオーダーしています。

 この問題、それほど簡単ではないと私は見ています。ただ単に、その医師が「いやあ、見落としてましたよ」というだけ(それでも十分ひどいですが)ではなく、システム全体の問題なのです。そして、同様の事例があちこちで起きていて、一向に改善しないところもまた問題です。同様の事例は、2016年12月の名古屋大学病院でも起きています(参考記事)。

 重く見たのは私だけではなく、厚生労働省も同じようで、14日、文書で全国の医療機関に見落とし防止策を徹底するよう求めています(参考資料)。

 私が考える本件の問題点を3点指摘し、順に考えていきます。

著者プロフィール

2006年鹿児島大学医学部卒。都立駒込病院外科で初期・後期研修後、同病院で大腸外科医師(非常勤)として勤務。2017年4月から総合南東北病院外科に勤務。消化器外科専門医、外科専門医、がん治療認定医、マンモグラフィー読影認定医。

連載の紹介

中山祐次郎の「切って縫うニュース」
世の中の医療・医学に関連するニュースを、若手外科医がバッサバッサと斬りまくり。でも、社会の病巣にメスを入れるだけでなく、切ったところをきちんと縫うのも外科医の仕事。だから「切って縫うニュース」。きれいに縫えるか、乞うご期待。

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