<処方箋の具体的内容は>
<何が起こりましたか?>
<どのような過程で起こりましたか?>
・今回の検診で、患者から目の見え方に違和感はないが瞼にかゆみがあると訴えがあったため、ネオメドロールEE軟膏<フラジオマイシン硫酸塩・メチルプレドニゾロン>を処方することにした。
・処方後、しばらく後に保険薬局から電話があり、「定期検診で受診された患者さんですが、今回、散瞳薬のネオシネジンコーワを処方されていますが、瞼のかゆみのため軟膏を処方してもらったとおっしゃっております。処方された薬と患者さんのお話に齟齬がありましたので、念のためお電話させていただきました。」と連絡があった。
・処方した薬を確認したところ、ネオメドロールEE軟膏ではなく、間違えてネオシネジンコーワ5%点眼液<フェニレフリン塩酸塩>を処方していたことが分かった。
<どのような状態になりましたか>
・幸いにも、薬が患者の手に渡る前に分かったため、有害事象や治療に対する影響は見られなかった。
<なぜ起こったのでしょうか?>
・両薬とも眼科領域で用いる薬であったため、候補として表示されやすくなっていた可能性がある。
<二度と起こさないためには今後どうしますか?>
・間違えやすい医薬品については、一般名や薬効も電子カルテや処方オーダリングシステム上で表示するように変更するなど工夫を行い、見間違えにくくする。
・特に間違えやすい医薬品や、間違えた際に重大な事故につながる医薬品については、処方時に間違えていないか、電子カルテや処方オーダリングシステム上でアラートを表示するようにする。
・今回の事例では、患者に処方薬について説明をしておいたことにより、薬剤師や患者のチェックが働きやすくなったと考えられる。処方する薬やその使用法について患者に説明することは、治療面だけでなく事故防止の観点でも有用である。患者の理解度を高めるため説明を行うように心がける。
1) 渡部恵 他, 薬学雑誌, 122(10):841-847, 2002.