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指の色素性病変の診かた(1)
その指、詳しく診させてもらえませんか?

2018/11/07
佐藤 俊次(さとう皮膚科)

 毎日診察をしていると、症状が軽い部位の治療は希望しているのに、症状が重い別の部位の治療は希望しない患者さんに出会うことがあります。

 看護師が待合室で患者さんの予診を取った後、「今日は体だそうです。顔の治療は希望していません」と報告してきました。どれどれ、と患者さんを診察室に呼び入れると、何より真っ赤でカサカサな顔に目が行きます。しかし、患者さんは「体や首が痒いのでこちらを診てほしい」と言います。例えばアトピー性皮膚炎との付き合いが長期にわたっている患者さんは、自分なりの対処法や治療の受け方を持っていたりするので、そんなとき「どう診察していこうか」とつい悩んでしまいます。

 今回は、治療を希望した病変とは全く別の疾患の診察をすることになった、そんなお話です。

 70歳代女性。毎日水を使う仕事をしている患者さんです。一日中水洗いや洗剤を使うためか、手荒れがひどいので何とかしてほしいという主訴で受診しました。

 右手第1指の内側に角化、鱗屑、小水疱、亀裂など主婦湿疹(汗疱状湿疹)の所見が見られます(図1)。

 患者さんが訴える病変はシンプルなものです。手荒れの一連の説明と処方をして診察を終了したいところですが、どうしても指腹部の長径6mm大の黒灰色斑が気になります。自覚症状はないそうです。

 患者さんに聞いても、いつからあったか分からないし、何の自覚症状もないので「染色用色素を使う仕事をしているので、それで付いた色じゃないですかね」と全く気にしていません。

 しかしこちらとしては気になって仕方がありません。「手荒れの治療で来ただけなんですけど……」と患者さんは困惑気味ですが、「すぐ終わる痛くない検査ですから」と説得して詳しく見せてもらいました。

 このような病変をどのように考えていったらよいでしょうか。

図1 70歳代女性右手第1指の臨床写真 第1指の内側に角化、鱗屑、小水疱、亀裂など主婦湿疹(汗疱状湿疹)の所見が見られますが……
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著者プロフィール

佐藤俊次氏(さとう皮膚科[東京都杉並区]院長、皮膚科専門医)●さとう としつぐ氏。1982年防衛医科大学校卒、同年同大皮膚科学教室入局。88年日本皮膚科学会認定皮膚科専門医取得、89年日本医科大学第2病理学教室で医学博士取得。90年東京都杉並区でさとう皮膚科を開業。2010年からオーストリア・グラーツ医科大学の「Basic Dermoscopy Course」(e-ラーニング)を受講開始。14年同コースを終了し、「Basic Dermoscopy Diploma」取得。

連載の紹介

佐藤俊次の「毎日使うダーモスコピー!」
診療報酬が付く前から独学でダーモスコピーを学び、開業医でありながら、自らの研究成果を国内のみならず海外学会でも発表してきた佐藤氏が、毎日の診療で役立つダーモスコピー活用のポイントを解説します。ダーモスコープ最大手の米国3Gen社の社長から直々に貰った1台は佐藤氏思い出の一品です。
この連載を書籍化しました!
『プライマリ・ケア医のための今日から使えるダーモスコピー』好評発売中

 このたび、この連載「佐藤俊次の『毎日使うダーモスコピー!』」を書籍化いたしました。
 2016年6月から開始したこの連載は、患者の主訴を皮切りとして、ダーモスコピー像を見ながら鑑別疾患を考えていく注目コラムです。
 書籍では、16の主訴を中心に、合計700枚を超える写真をふんだんに使いながら、日常診療でよく見られる皮膚疾患のダーモスコピーの見方を解説しています。ダーモスコピー像に加えて、ダーモスコピー像を画像変換して構造や血管走行などを見やすくした画像を併記しているのは、本邦初です。この画像変換は海外学会でも報告され、ダーモスコピーの理解を助ける方法として注目されています。
 さらに書籍には、日常診療でよく遭遇する皮膚疾患をまとめたカラーアトラスを別冊として同梱。患者説明などにご利用いただけます。
 ぜひ、日々の診療にご活用ください。(佐藤俊次著、日経BP社、7500円+税)

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