COVID-19の感染拡大を受けて、短期間のうちに様々な抗体検査が開発されたが、その検査精度は十分に評価されていない。カナダMcGill大学のMayara Lisboa Bastos氏らは、SARS-CoV-2抗体検査の精度を検討した研究を対象に系統的レビューとメタアナリシスを行い、各種検査の感度や特異度にはばらつきがあり、使用するには注意が必要だと報告した。結果はBMJ誌電子版に2020年7月1日に掲載された。
著者らは、2020年1月1日から4月30日までにMedline、bioRxiv、medRxivに掲載されていた論文の中から、SARS-CoV-2に対する抗体を検出する検査の感度と特異度を、標準的なウイルス培養またはRT-PCRの結果を参照として評価していた、ランダム化比較試験、コホート研究、ケースコントロール研究、ケースシリーズ研究を抽出した。
主要評価項目は、各種検査法の感度と特異度とした。酵素免疫測定法(ELISAs)、ラテラルフローイムノアッセイ(LFIAs)、化学発光免疫測定法(CLIAs)などの測定法と、免疫グロブリンのクラス(IgG、IgM、これら両方)で層別化して評価した。
検索で見つかった論文のうち、COVID-19患者を対象に血清抗体価を測定し、検査特性を報告していたフルテキストの論文は40件(合計で2万9842人を検査していた)あった。このうち28件は中国で、3件はイタリア、3件は米国で行われており、ほかに、デンマーク、スウェーデン、スペイン、日本、英国、ドイツでそれぞれ1件ずつ行われていた。
32件(80%)が感度と特異度の両方を報告しており、7件(18%)が感度のみ、1件(3%)が特異度のみを報告していた。感度を報告していた39件の研究は、全てRT-PCRの結果を参照としていた。感度の評価について、発症から標本採取までの時間を報告していたのは18件(45%)だった。20件(50%)がピアレビュー誌以外に発表されていた。
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