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特集●意外と知られていない皮膚疾患 Vol.3
繰り返す上背部のかゆみ
(2010.1.26改訂)

Notalgia parestheticaの一例。41歳女性。病悩期間が長く、右背部に色素沈着、苔癬化が見られる。

 熊本市立熊本市民病院皮膚科部長の木藤正人氏がこの疾患を初めて診断したのは20年ほど前。Weberの論文[1]に接したのがきっかけだった。

 知り合いの奥さんが、上背部の掻痒感を訴えて来院した。彼女は繰り返す掻痒感を主訴に、何軒か医療機関を渡り歩いたが、一向に改善しなかったという。長い病悩期間と軟膏などによる種々の治療のためか、掻痒感のある部位には色素沈着や苔癬化を認め、一見、ビダール苔癬を疑わせる所見であった。だが、その特徴的な発症部位と、「病初期には全く皮疹はなかった」との訴えから、木藤氏は、背部錯感覚症(Notalgia paresthetica)だと診断した。

 「それ以前から、背部に何らかの皮疹を認めないのに強い掻痒感を訴えて来院する人がいたが、種々の治療法に反応しないため不定愁訴だと考えていた。論文でこんな疾患があると知ったときには驚き、不定愁訴で片付けていた自分を恥じた」と木藤氏は振り返る。

症状は片側、皮膚変化もなし
 日常診療で原因不明の上背部のかゆみを訴える患者は少なくない。そうした場合、Notalgia parestheticaである可能性がある[2][3]

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