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特集連動◇癌治療の最先端 Vol.5
免疫療法●癌ペプチドワクチンをオールジャパン体制で評価

東大医科研教授の中村祐輔氏。「ペプチドワクチン“実用化”のためには、多施設ランダム化試験を避けては通れない」。

 11月18日のNHKニュースでのオンエアからしばらく、東大医科学研究所・中村祐輔教授の研究室の電話は、癌ペプチドワクチンへの問い合わせで鳴りっぱなしだった。癌患者や家族から1週間で来た電話は400件を軽く超える。「自分の癌には使えるのか」「どこに行ったらできるのか」といった、すがるような問いに研究室の医師スタッフが逐一対応。中村氏自らも数十人の問い合わせに応じたという。

 ニュースで紹介されたのは、中村氏のグループが進めてきた癌細胞の遺伝子発現解析の研究成果から得られた癌ペプチドワクチン。癌細胞に特異的な蛋白質(癌抗原)の断片(ペプチド)を投与し、これを攻撃の目印として免疫細胞に覚えさせ、癌細胞を攻撃させようという治療法だ。この実用化を見据えたプロジェクトが内閣府のスーパー特区に採択されたことを機に、和歌山県立医大におけるペプチドワクチンの奏効例などが紹介された。

 中村氏が代表者となるスーパー特区のプロジェクトの名称は「迅速な創薬化を目指したがんペプチドワクチン療法の開発」。国内で開発が進む癌ペプチドワクチンの臨床効果を本格的に検証することが大きな目的だ。参加する施設は12月18日時点で、国内の61病院94部局。全国にまたがる施設で癌患者をエントリーし、ペプチドワクチンの多施設ランダム化試験を進める。“第四の癌治療法”として喧伝されるものの、有効性を示す明確なエビデンスが得られないまま広がっている免疫療法について、まずはペプチドワクチンで白黒をつけようというものだ。

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