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普及するか、感染症の迅速検査 《後編》
注目を集める感染症の遺伝子検査

2008/04/14
増田 智子=バイオ部

 病原微生物やウイルスを臨床現場で迅速に検出するキットが続々と登場してきている(「普及するか、感染症の迅速検査 《前編》」参照)。社会的な要求が強まれば、感染症の診断に用いる迅速検査の項目は今後も増えていくだろう。では、さらに項目が増えるとすれば、それはどのような検査なのだろうか。

 迅速検査キットが必要とされる検査対象として、順天堂大学医学部付属順天堂医院臨床検査部主任の三澤成毅氏は、(1)診断に直結する病原体、(2)診断を急ぐ感染症の病原体、(3)培養・検出が困難な微生物(ウイルス)や毒素―の3つを挙げる。

 (1)に当たるのは、健康な人ではまず検出されない非常在菌だ。(2)は、劇症型の感染症や、院内感染を引き起こす可能性が高い病原体。特に、小児の患者で治療が遅れると後遺症が残る恐れがある髄膜炎については、「1例1例が勝負なので、年数回しか使用の機会がなくても、常備しておくべき」と三澤氏は指摘する。また(3)のウイルスや毒素は、細菌と異なり培養できないため、抗体を用いる迅速検査キットに対する需要が高い。急速に普及したインフルエンザウイルスの検査は、この(3)に該当する。そして、診療所や規模の小さい病院の日常診療で必要とされているのは、「インフルエンザや溶連菌など患者数が多い感染症を、迅速に診断することができるキット。外来では“一発勝負”が求められるからだ」(静岡がんセンター感染症科部長の大曲貴夫氏)。

 既に様々な迅速検査キットが商品化されてはいるものの(《前編》の表1を参照)、日常診療の現場のニーズからすれば、まだまだ技術開発の途上にあることは否めない。実際、最も普及しているインフルエンザ検査でさえも、「ウイルス排出量の少ない、早期のインフルエンザ患者の取りこぼしが致命的な欠点になっているので、もう少し感度を上げてほしい」と、原土井病院(福岡市東区)臨床研究部部長の池松秀之氏は、さらなる改良を望む。

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