日経メディカルのロゴ画像

Lancet誌から
若年者のCT検査、累積線量に応じて白血病と脳腫瘍のリスクが上昇
絶対リスクは小さいが、慎重な適用が必要

 CT検査を受けた22歳未満の若年者では、脳の累積線量が60mGy程度になると脳腫瘍リスクが約3倍、赤色骨髄の累積線量が50mGy程度になると白血病リスクがほぼ3倍になる可能性が、英国で行われた後ろ向きコホート研究で示された。論文は、英Newcastle大学のMark S Pearce氏らが、Lancet誌電子版に2012年6月7日に報告した。

 CTスキャンは非常に有用な検査法だが、特に放射線感受性が高い小児では電離放射線による発癌リスク上昇への懸念がある。しかしこれまで、CTスキャンを受けた患者の癌リスクを直接調べた研究はなかった。

 そこで著者らは、英NHS(National Health Service)のデータベースを利用して、CT検査を受けた若年者の白血病と脳腫瘍の罹患について分析する後ろ向きコホート研究を実施した。

 白血病と脳腫瘍に着目したのは、(1)赤色骨髄と脳は放射線感受性が高い(特に小児)(2)これらの組織は小児期のCTスキャンで放射線を浴びやすい(3)白血病と脳腫瘍は小児癌の中では罹患率が高い―という理由からだ。

 1985年から2002年に、イングランド、ウェールズ、スコットランドのNHSセンターで初回のCT検査を受けた、22歳未満の、癌の既往がない患者を選んで、生年月日、CT検査の詳細、検査部位、性別、居住地域などの情報を得た。さらにNHSのデータベースから、85年1月1日から08年12月31日までの癌罹患、死亡、追跡からの脱落に関するデータを入手した。

 CT1回当たりの脳と赤色骨髄の吸収線量(mGy)を推定し、白血病と脳腫瘍の過剰発生をポワソン相対リスクモデルを用いて評価した。癌診断を目的とするCTスキャンを分析に組み入れないように、白血病罹患に関する追跡は初回CT検査から2年後、脳腫瘍については5年後に開始した。

 白血病に関する分析の対象として条件を満たした17万8604人を、172万984人-年追跡した。脳腫瘍については、条件を満たした17万6587人を、118万8207人-年追跡した。

 白血病リスクの評価対象になったのは28万3919回のCT検査で、うち64%(18万2337回)は頭部の検査だった。次に多かったのは腹部と骨盤のいずれかまたは両方で、全体の9%(2万5695回)を占めた。続いて胸部の検査が7%(1万8910回)だった。脳腫瘍の評価の対象になったCT検査は27万9824回と幾分少なかったが、検査部位の割合は白血病の場合とほぼ同様だった。

この記事を読んでいる人におすすめ