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Lancet誌から
多発外傷患者で全身CTを撮ると死亡リスクが減少
外傷ケアの初期段階に組み込むことを推奨

 外傷患者の評価に全身CT検査を適用する外傷センターが増えている。ドイツMunich大学病院のStefan Huber-Wagner氏らが行った後ろ向き研究の結果、外傷患者に対して早期に全身CT検査を行うと、患者の死亡リスクが低減することが明らかになった。詳細は、Lancet誌電子版に2009年3月24日に報告された。

 外傷センターで行われる全身CT検査が大外傷患者のアウトカムに及ぼす影響は明確ではない。著者らは、鈍的外傷患者を対象に、蘇生処置の早期段階で全身CT検査を行った場合と行わなかった場合の死亡率を比較する、後ろ向きの多施設試験を行った。

 ドイツ外傷学会の外傷登録からデータを抽出した。このデータベースは、ドイツ、オーストリア、スイスのドイツ語圏で多発性外傷を負い外傷センターに搬送された患者のうち、外傷重症度スコア(Injury Severity Score:ISS、1~75で数値が高いほど重症)が16以上の症例を登録している。

 今回はその中から、鈍的外傷で、重症度は16以上、全身CT検査を受けたかどうかが明記されている患者で、外傷現場から直接外傷センターに搬送された患者を選出した。

 患者ごとに、TRISS(Trauma and Injury Severity Score:外傷の生理的重症度と解剖学的重症度、年齢などに基づいて予測救命率を計算する)とRevised Injury Severity Classificationスコア(RISCスコア:年齢、ISS、部分トロンボプラスチン時間、心肺停止の有無、出血兆候などを指標として外傷を分類する)を求めた。

 頭部単純CTと、胸部、腹部、骨盤、脊椎の造影CTを行った場合を全身CT検査とした。

 条件を満たした4621人(平均年齢は42.6歳、73%が男性、TRISSの平均は29.7)の鈍的外傷患者のうち、1494人(32%)が蘇生段階の早期に全身CT検査を受けていた。一方、全身CTが適用されていなかった3127人(68%)のうち、CT検査が全く行われていなかったのは697人(22%)で、残りの患者には部分的なCT検査が適用されていた。

 外傷室に到着してからCT検査開始までの時間は、部位特異的なCTを受けた患者グループより全身CT群で有意に短かった(46.6分と35.5分、p<0.001)。

 全身CT検査に起因すると考えられる有害事象はなかった。

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