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Lancet誌から
アセトアミノフェンが小児の喘息リスクを高める?
31カ国の6~7歳児20万人の調査結果、作用機序は不明

 小児の発熱に対して広く用いられているアセトアミノフェン(海外での別名:パラセタモール)が喘息危険因子になり得るという、気がかりな研究結果が報告された。ニュージーランドMedical Research InstituteのRichard Beasley氏らが、生後12カ月間、あるいは過去12カ月間にアセトアミノフェンの投与を受けた6~7歳児を対象に喘息症状の有無を調査したもので、どちらの期間のアセトアミノフェン使用も、喘息症状リスクを有意に上昇させることが示された。詳細は、Lancet誌2008年9月20日号に報告された。

 この半世紀に喘息の罹患率が上昇した理由には諸説あり、多くの危険因子の関与が想定されている。新たな危険因子の同定を試みた著者らは、アセトアミノフェンに注目した。アセトアミノフェンに胎内で、または小児期や成人以降に曝露すると、喘息罹患リスクが上昇するとの報告が複数あったからだ。また、喘息の小児に対し、解熱を目的としてアセトアミノフェンを投与した場合、イブプロフェンに比べて喘息による外来受診が倍化するとの報告もあった。

 アセトアミノフェンは非常に広範に用いられているだけに、喘息リスク上昇が有意なら問題は大きい。

 著者らは、International Study of Asthma and Allergies in Childhood(ISAAC;喘息とアレルギー疾患の国際共同疫学調査)プログラムの第3期に、アセトアミノフェンの使用と喘息の関係を調べた。第3期ISAACは、無作為に選んだ学校に在籍する6~7歳と13~14歳の小児を対象に行われたが、著者らはこのうち6~7歳児を分析対象とした。

 6~7歳の小児の両親または保護者に質問票への回答を依頼し、喘息、鼻結膜炎、湿疹の症状について、また、生後12カ月間の発熱に対するアセトアミノフェンの使用歴、過去12カ月アセトアミノフェン使用頻度(使用なし、1年に1回以上、1カ月に1回以上)などについて尋ねた。

 主要アウトカム評価指標は、解熱を目的とする生後12カ月以内のアセトアミノフェン使用と、6~7歳時点の喘息症状の関係に設定。ロジスティック回帰分析によりオッズ比を求めた。

 31カ国の73医療機関が調査対象にした、6~7歳の小児20万5487人が条件を満たした。

 まず、生後12カ月までのアセトアミノフェン使用と現在の喘息症状については、性別、居住国、言語、国民総所得で調整した多変量解析で、6~7歳時の喘息症状のリスク上昇と有意に関係していることが明らかになった。オッズ比は1.46(95%信頼区間1.36-1.56)。生後12カ月間のパラセタモール使用の喘息に対する人口寄与リスク(注)は21%だった。喘息症状のリスク上昇は、世界のどの国でも見られた(地域間の不均質性のp<0.005)。

 生後12カ月間のアセトアミノフェン使用は、6~7歳時の重症喘息症状(過去12カ月間の喘鳴の頻度が4回以上または喘鳴による睡眠障害が週1回以上、もしくは喘鳴により呼吸の間に1語か2語しか発音できない状態を経験)のリスクも有意に上昇させていた。オッズ比は1.43(1.30-1.58)、人口寄与リスクは22%。

 生後12カ月間のアセトアミノフェン使用により、6~7歳時の鼻結膜炎のリスク(1.48、1.38-1.60)、湿疹のリスク(1.35、1.26-1.45)も有意に上昇していた。人口寄与リスクはそれぞれ22%と17%だった。喘息症状の場合に比べ、これらのリスク上昇の地域差は大きかった。

(注)人口寄与リスク(PAR: population attributable risk、人口寄与危険度ともいう):
その疾患の中で問題となっている危険因子によって発症したと考えられる患者の割合(%)

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