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JAMA誌から
血漿プロニューロテンシン高値は糖尿病、乳癌、死亡などのリスク上昇に関係

 ニューロテンシンレベルを反映する血漿プロニューロテンシンproNT)の高値が、その後の糖尿病心血管疾患乳癌、全死因死亡、心血管死亡のリスク上昇に関係することが、スウェーデンLund大学のOlle Melander氏らの研究で明らかになった。空腹時血漿proNT値とその後の疾患罹患リスクや死亡リスクとの関係を調べた研究はこれが初めて。論文は、JAMA誌2012年10月10日号に掲載された。

 13アミノ酸からなるペプチドホルモンのニューロテンシンは、実験的な条件下では、乳癌の増殖や満腹感の調節にかかわることが知られている。しかし、乳癌の発生や心血管代謝系疾患との関係は明らかではなかった。

 著者らは、ニューロテンシン自体はin vivoでもin vitroでも不安定であるため、血漿中でも安定な117アミノ酸からなるニューロテンシンの前駆体proNTを測定し、空腹時の血漿濃度と、その後の、初回の糖尿病/心血管疾患/乳癌の診断、全死因死亡、心血管死亡との関係を調べた。

 スウェーデンのMalmoで住民ベースのMalmo Diet and Cancer Studyに登録され、さらにMDC Cardiovascular Cohort(MDC-CC)に組み入れられて1991~94年にベースラインの評価を受けた人々のうち、空腹時血漿が利用でき、proNTを測定できた4632人を選んだ。それらの中から、共変数に関するデータが不完全だった人々と、ベースラインで評価の対象となる疾患に既に罹患していた人々を除いて分析した。

 初回の糖尿病診断の追跡は06年6月30日まで行った。初回の心血管疾患、乳癌の診断、死亡の有無は09年1月1日まで追跡した。

 主要評価指標は、糖尿病/心血管疾患(心筋梗塞と脳卒中)/乳癌の罹患、全死因死亡、心血管死亡に設定。多変量Cox比例ハザードモデルを用いてベースラインのproNT値との関係を調べた。

 糖尿病罹患については、年齢、性別、降圧薬の使用、収縮期血圧、BMI、腹囲、心血管疾患の有無、喫煙習慣と、空腹時の血糖、HDL-C、LDL-C、トリグリセリド、インスリン値といった糖尿病危険因子で調整。心血管疾患、全死因死亡、心血管死亡については、年齢、性別、降圧薬の使用、収縮期血圧、BMI、喫煙習慣、糖尿病、空腹時のHDL-C、LDL-C値といった心血管危険因子で調整。乳癌については、年齢、降圧薬使用、ホルモン補充療法、経口避妊薬使用歴、学歴、初経年齢、子どもの数、閉経前か後か、収縮期血圧、BMI、糖尿病の有無、喫煙習慣、心血管疾患の有無、癌家族歴、空腹時のHDL-C、LDL-C、インスリン値といった乳癌危険因子で調整した。

 女性のproNT値は男性に比べ有意に高かった。男性の中央値が99pmol/L(四分位範囲は71~144)、女性の中央値は109pmol/L (79~150)(P<0.001)。

 中央値13.2年の追跡期間中、ベースラインで糖尿病ではなかった3704人中、142人が糖尿病に罹患した。1万人-年当たりの罹患率は30.2になった。ベースラインの測定値を対数変換したproNT値が1SD上昇当たりのハザード比は1.28(95%信頼区間1.09-1.50、P=0.003)になった。女性に限定してハザード比を求めると1.41(1.12-1.77、P=0.003)、男性では1.21(0.96-1.53、P=0.10)となったが、糖尿病との関係におけるproNT値と性別の交互作用は有意ではなかった(P=0.37)。

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