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JAMA誌から
ワルファリン使用者へのtPA投与、INR1.7以下なら非使用者と出血リスクの差なし
現行のガイドラインを裏付ける結果

 組換え組織プラスミノーゲン活性化因子(tPA)の静注は、急性虚血性脳卒中患者の転帰を改善することが知られている。しかし、ワルファリン療法を受けている患者にtPAを投与すると、頭蓋内出血のリスクが上昇する可能性がある。米Duke Clinical Research InstituteのYing Xian氏らは、ワルファリン使用者でも受診時の国際標準比(PT-INR)が1.7以下であれば、ワルファリン非使用者と比べてtPA投与による出血リスクの上昇はないことを、大規模観察研究によって明らかにした。論文は、JAMA誌電子版に2012年6月27日に掲載された。

 米心臓協会(AHA)と米脳卒中協会(ASA)のガイドラインは、ワルファリンを使用していてもINRが1.7以下の患者には、tPAの適用を推奨している。しかし、tPAに関する主要な大規模臨床試験は、ワルファリン使用患者を登録から除外して行われている。ワルファリン使用者に対するtPAの出血リスクへの影響を調べた観察研究はあるが、いずれも小規模で、一致する結果は得られていない。そのため、安全性を示すデータがないままにINR1.7以下のワルファリン使用者にtPAを投与することを疑問視する声もあった。

 著者らは、虚血性脳卒中でtPAの静注を受けたワルファリン療法中の患者とそうでない患者の症候性の頭蓋内出血のリスクを明らかにするため、観察研究を実施した。

 データはAHA Get With The Guidelines-Stroke Registryから得た。このデータベースは、急性脳卒中患者が使用していた抗血栓薬や受診時のINRも記録している。09年4月1日から11年6月30日までに、1203カ所の病院を受診した虚血性脳卒中患者の中から、来院時のINRが1.7以下で、tPA投与を受けた2万3437人の情報を抽出した。脳卒中で入院した日から7日以内のワルファリン使用の有無を調べて、使用群と非使用群に分類した。

 主要転帰評価指標は、tPA投与後36時間以内の症候性の頭蓋内出血に、2次評価指標は、36時間以内の生命を脅かすまたは重症の全身性出血、36時間以内のtPA合併症(症候性頭蓋内出血と、生命を脅かすまたは重症の全身性出血を含むあらゆる重症合併症)、院内死亡などに設定した。

 2万3437人のうち、1802人(7.7%)がワルファリンの投与を受けていた。ワルファリン使用者のINRの中央値は1.20(四分位範囲は1.07~1.40)で、15%(269人)の患者はINRが1.5~1.7の範囲内だった。ワルファリン使用群は、非使用群に比べより高齢で、女性が多く、併存疾患保有率が高く、NIH脳卒中スケール(NIHSS)に基づく脳卒中の重症度は高かった。症状発現からtPA投与開始までの時間の中央値はワルファリン使用群では148分、非使用群では145分だった(P=0.28)。

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