エストロゲンとプロゲスチンを併用するホルモン補充療法(HRT)を受けた閉経女性は、浸潤性乳癌の累積罹患率、診断時にリンパ節転移陽性であるリスク、乳癌死亡率がいずれも有意に高いことが、無作為化試験Women's Health Initiative(WHI)の11年間の追跡データの分析で明らかになった。米Los Angeles Biomedical Research InstituteのRowan T. Chlebowski氏らが、JAMA誌2010年10月20日号に報告した。
この試験は、介入期間の平均が5.6年の時点で、浸潤性乳癌リスクの上昇と、乳癌診断が遅れる危険性が指摘され、そのリスクは利益を上回ると判断されたために早期中止された。登録患者の追跡はそれ以降も続けられ、平均7.9年の時点の分析では、介入群の乳癌リスクは治療中止後速やかに低下することが明らかになった。しかし、長期的な累積罹患率の評価は行われておらず、これら2剤の併用が乳癌死亡に及ぼす影響も明らかではなかった。
そこで著者らは、追跡期間が11.0年の時点(09年8月14日)で、エストロゲン+プロゲスチンの併用が乳癌の累積罹患率と死亡率に及ぼす影響を分析した。
米国内40施設で1993年に開始されたWHIの2剤併用試験は、50~79歳で子宮摘出歴と乳癌歴のない閉経女性1万6608人を登録し、無作為に結合型ウマエストロゲン0.625mg/日+酢酸メドロキシプロゲステロン2.5mg/日、または偽薬に割り付け、05年3月31日まで投与する設計になっていたが、02年7月7日に中止された。
当初得ていた患者の同意の期限は05年3月31日だったため、それ以降の追跡について再び同意が必要となった。著者らは、その時点で生存していた1万5408人中1万2788人(83%)から同意を得て、09年8月14日まで、年1回、マンモグラフィーと乳房の検査を行い、データを収集した。
今回の分析の主要アウトカム評価指標は、浸潤性乳癌の罹患率と乳癌死亡に設定。当初割り付けられた1万6608人全員を対象にintention-to-treat分析を行った。
割り付けから早期中止までの介入群と対照群の浸潤性乳癌診断は349例、予定された試験終了日である05年3月31日までに乳癌と診断された患者は488例、今回分析対象となった09年8月14日まで(17万166人-年の追跡)では計678例になっていた。
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