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JAMA誌から
成人では経鼻インフルワクチンより不活化ワクチンが有効
50歳未満の米国軍人を対象にした研究

 2003年に米国で登場した経鼻インフルエンザワクチンは、小児においては従来型の3価不活化インフルエンザワクチンよりも有効であるとの報告がなされている。では、成人でも同様に、経鼻ワクチンは不活化ワクチンに優る効果をもたらすのだろうか。

 米国Armed Forces Health Surveillance CenterのZhong Wang氏らが、インフルエンザの予防接種率が高い50歳未満の健康成人(米国軍人)を対象に、経鼻インフルエンザワクチンと不活化インフルエンザワクチンの有効性を比較したところ、小児とは異なり、不活化ワクチンの方が経鼻ワクチンよりも有効であるという結果が示された。論文は、JAMA誌2009年3月4日号に掲載された。

 集団生活をしており、常にストレスにさらされる軍隊では、呼吸器疾患のアウトブレイクが起こりやすい。米国では、1950年代にワクチン接種が開始されるまで、軍人のインフルエンザ罹患率と死亡率は高かった。

 03年の経鼻投与型弱毒化インフルエンザ生ワクチン(intranasal live attenuated influenza vaccine:LAIV)の登場を受けて、米国防総省は経鼻ワクチンの適用を指示した。筋注に比べて投与が簡単だからだ。それでも、06~07年の流行期までは従来型の3価不活化インフルエンザワクチン(trivalent inactivated vaccine:TIV)の方が多く用いられていた。その後、LAIVの使用が増加し、現在では、TIVは主に呼吸器疾患リスクの高い人またはLAIV禁忌者に適用されるようになっている。

 LAIVとTIVを比較したこれまでの研究では、小児ではLAIVの優越性が示されており、成人においてはこれらの効果は同等またはTIVの方が有効であることが示唆されていた。

 著者らは、米軍のワクチン接種方針の正当性を支持するエビデンスを求めて、2通りのワクチンの有効性を調べる集団ベースの研究を実施した。

 情報は、大規模データベースDefense Medical Surveillance System(DMSS)から得た。すべての軍人について、軍籍にある期間中の人口統計学的情報、職務状況、予防接種歴、受診歴がDMSSに登録される。

 DMSSから、2004~05年、05~06年、06~07年のインフルエンザ流行期(9月1日から4月30日)に1カ月以上、米国内で現役勤務に就いた人々のデータを抽出した。LAIVの適応が49歳までとなっているため、各流行期の始まりの時点で年齢が17~49歳の男女を選んだ。妊娠した女性兵士にはLAIVが適用されないため、対象から除外した。

 主要アウトカム評価指標は、肺炎またはインフルエンザの診断に至った受診(これをインフルエンザ罹患と見なした)、2次評価指標は、インフルエンザまたは肺炎による入院に設定。

 ワクチン非接種群、TIV接種群、LAIV接種群について、1000人-年当たりの罹患率を計算した。

 調整罹患率比は、多変量ポワソン回帰モデル(年齢、性別、所属部隊、入院歴、流行期に先駆けること12カ月間の受診回数とインフルエンザ様疾患による受診歴、インフルエンザワクチン接種歴で調整)を用いて推定した。

 なお、傾向スコアマッチングモデルを用いた分析も実施。予防接種を受けた人々の傾向スコアを年齢、性別、所属部隊、入院歴、過去1年間のインフルエンザ様疾患による受診歴に基づいて計算し、非接種者の中から傾向スコアが最も近い人々を選んで比較の対象とした。

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