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学会トピック◎第57回日本呼吸器学会学術講演会
高齢者肺炎の嚥下機能を簡単に評価できるスケール開発

戸畑共立病院呼吸器内科の長神康雄氏。

 高齢者肺炎の多くは誤嚥性肺炎であるが、予後を左右する因子の1つに栄養状態があるため、摂食嚥下機能の評価が重要だ。嚥下造影検査(VF)や嚥下内視鏡検査(VE)など、摂食嚥下機能を評価する方法は複数あるが、日常診療でスクリーニングとして定量的に評価できる簡便な方法は限られる。

 4月21~23日に都内で開催された第57回日本呼吸器学会学術講演会では、戸畑共立病院(福岡県北九州市)呼吸器内科の長神康雄氏らが、高齢者の肺炎患者向けに開発した簡易な摂食嚥下機能評価法を紹介。同スコアの点数は、肺炎の再発率や死亡率とも相関し、予後予測因子としても活用できることを報告した。

 長神氏らは、前回の第56回同学会で、急性期脳卒中に対する嚥下機能評価法(嚥下障害と誤嚥のスクリーニングする方法)であるMASA(The Mann Assessment of Swallowing Ability、200点満点)のスコアが、高齢者肺炎患者の予後予測因子の指標として有用であることを報告。同病院に入院した高齢者肺炎患者153人の検討から、MASAのスコアが低い重症者ほど、肺炎の再発率や入院中の死亡率、半年後死亡率は高まることを示した。

 「だが、MASAの実施には、嚥下機能評価に熟練したスタッフが必要になる上、20以上の確認項目があるため30分近くを要する。高齢者肺炎の診療で日常的に使用するには厳しかった」と長神氏は話す。

 そこで長神氏らは、高齢者肺炎に特化したより簡便な指標として、ASAP(assessment of swallowing ability for pneumonia)を開発した。前回の高齢者肺炎患者153人の検討から、経口摂取できた群とMASAの各項目との関連を調べたところ、経口摂取で栄養を確保するためには、「食塊クリアランス」「咽相」「舌の筋力」「全般的な言語障害」の4項目が重要であることが示されため、これらの項目に加えて、臨床面から重要だと判断した「意識」「随意的な咳」を盛り込み、計8項目のスコアとした(図)。

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