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速報◎63回日本職業・災害医学会学術大会
医療事故調査制度、「警察含めた関係団体との連携を」
滋賀県、東京都、昭和大学病院での対応を紹介

パネルディスカッションの様子。

 第63回日本職業・災害医学会学術大会(大会長=昭和大学病院長の有賀徹氏)が東京都内で開かれた。学会初日となる11月22日には、先月に始まったばかりの医療事故調査制度をテーマにしたパネルディスカッション「病院における医療事故について」が開催された。会場には多くの参加者が集まった。

 特別発言を行った滋賀医科大学社会医学講座法医学部門教授の一杉正仁氏は、滋賀県における医療事故調査制度の実態を紹介した上で、「医療事故調査制度では、警察を含めた関係団体とうまく連携を取ることが求められる」とアドバイスした。

 一杉氏は医療事故調査を行う際には、(1)警察との連携、(2)解剖の円滑な実施、(3)迅速な対応――の3つが大切だと話した。滋賀県では県医師会が24時間体制で相談を受ける体制を整えている。医師会に相談された事例の情報は全て、一杉氏にも共有されるようになっている。

 一杉氏は、医療事故の全てに警察が介入してくるといった事態に陥らないようにするため、警察に理解を求めているという。さらに一杉氏は、医師会に相談された事例の情報を警察と共有するようにしている。「基本的に医療事故調査制度は我々医療者に任せていただくことになるので、紳士協定として情報共有を行っている」と話す。

 医療事故が発生した際、解剖が円滑に実施できるよう、滋賀県内での解剖実施システムを整備した。解剖を斡旋するのは県医師会で、実際の解剖は滋賀医科大学医学部の社会医学講座法医学部門で行われる。解剖費用は施設負担で十数万円と「実費程度に費用負担額を抑えるようにした」(一杉氏)。

 Ai(死亡時画像診断)について一杉氏は「Aiで所見がないケースでは心臓に原因があると結論付けてしまうことが県内で多いことが分かった。原則として解剖を勧めている」と話した。


厚労省の平子氏「院内事故調査委員会には支援団体のメンバーを」
 厚生労働省医政局総務課医療安全推進室長の平子哲夫氏は、医療事故調査制度の概要を分かりやすく解説した。制度の目的は医療事故の再発防止によって、医療の安全を確保することであると説明。異状死体の届け出を規定した医師法21条は医療事故調査制度とは関係なく、従来通りの対応が必要になることに注意を求めた。

 改正医療法の第6条11では、院内事故調査を行うにあたり、病院の管理者は支援団体に「必要な支援を求めるものとする」と定められている。だが、支援を求めることは義務なのか否か、臨床医の間でその解釈は分かれている。支援団体の役割について平子氏は、厚労省のホームページでも支援のあり方について解説していることに触れ、「支援団体に支援を求めるのはマストになる。公平性、中立性、透明性の観点から、院内事故調査にも原則として支援団体のメンバーを入れていただくことになる」と説明した。また、医療事故調査を行う病院は支援団体に対して(1)医療事故の判断に関する相談、(2)調査手法に関する相談、助言、(3)報告書作成に関する相談、助言、(4)院内事故調査委員会の設置・運営に関する支援、(5)解剖、死亡時画像診断に関する支援、(6)院内調査に必要な専門家の派遣――の中から必要な支援を求め、適切な調査を実施してほしいと話した。


川崎氏「報告書はA4用紙で1~2ページとシンプルに」
 支援団体の一つである東京都医師会の立場からは川崎志保理氏(順天堂大学病院病院管理学准教授)が登壇し、制度開始2カ月の実態を報告した。東京都医師会は、東京都内の医療機関が医療事故調査制度に関して24時間、365日質問できる「東京都医師会よろず相談窓口」を医師会内に設置しており、相談に応じるほか、解剖やAi(死亡時画像診断)の斡旋を行っている。
 
 川崎氏によると、制度スタート前となる9月末までの相談件数は3件、10月以降は5件の相談があった。うち3件は第三者機関である医療事故調査・支援センターに医療事故として報告することになった事例だという。

 川崎氏は院内事故調査報告書は、A4用紙で1~2枚とコンパクトにまとめることを推奨した。「遺族に報告書を渡すことを想定してシンプルにまとめる。細かい点を知りたいと遺族が要求した際はカルテ開示を求めてもらうようにする。そうすることで遺族に報告書を渡す際のもめごとも起きづらいのではないか」とアドバイスした。

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