生後1カ月の新生児の下咽頭に細菌が定着していると、生後5年間の持続性喘鳴のリスクは2倍、喘鳴による入院は3.1倍、喘息は4.6倍に上昇することが示された。デンマークCopenhagen大学のHans Bisgaard氏らの報告で、詳細はNEJM誌2007年10月11日号に報告された。
著者らは先の研究で得られた結果を基に、重症の喘鳴がある低年齢の小児の気道の病理学的特徴は、細菌定着と早期喘息の関係を示唆すると考えた。そこで今回は、無症候の新生児の下咽頭への細菌定着と、生後5年間の再発性の喘鳴や喘息発症の関係を調べた。
対象は、喘息患者の母親を持つ小児の集団。生後1カ月と12カ月時に、無症候の乳児の下咽頭から吸引物を採取し、肺炎球菌、インフルエンザ、モラキセラカタラーリス菌、黄色ブドウ球菌、A群β溶血性連鎖球菌の培養を行った。
対象者の両親に生後5年間、喘鳴の有無について記録するよう依頼。3日間連続して喘鳴が記録された場合を喘鳴エピソードと判定した。必要であれば、症状軽減を目的とする治療を行った。持続性喘鳴は、6カ月以内に5回の喘鳴エピソードを経験、または4週間連続して日々の喘鳴症状が記録された場合とした。医師の診断があり高用量コルチコステロイド治療を受けた患者は、重症の急性増悪と判定した。
なお血中好酸球数、総IgE、特異的IgEは4歳時に測定。5歳時には肺機能の測定と喘息の診断を行った。
生後1カ月の乳児321人について下咽頭由来標本を培養した。12カ月後も標本が採取できたのは231人で、5年後まで追跡できたのは253人だった。
1カ月時に、30人(9%)から肺炎球菌、28人(9%)からインフルエンザ、27人(8%)からモラキセラ菌、196人(61%)から黄色ブドウ球菌が検出された。A群β溶血性連鎖球菌が見られたのは1人のみ。肺炎球菌、モラキセラ菌、インフルエンザのいずれかまたは複数が検出されたのは66人(21%)。うち17人に複数の菌の定着があった。
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