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Arch Intern Med誌から
股関節骨折後の死亡リスク上昇は、1年後には解消
高齢女性を平均14年追跡した研究

 股関節部の骨折を経験した女性では、その後の死亡リスクが数倍に上昇するという報告がある。米Kaiser Permanente NorthwestのErin S. LeBlanc氏らは、65歳以上の女性を追跡して、骨折後1年間は死亡リスクが同年齢の女性の2倍を超えるものの、2年目以降はリスクの有意な上昇はなくなることを明らかにした。ただし、70歳未満のグループではリスク上昇が10年後まで持続していた。論文は、Arch Intern Med誌電子版に2011年11月14日に報告された。

 股関節骨折後に上昇した死亡リスクは、いずれ骨折前のレベルに戻るのか。また、戻るとすればどのくらい時間がかかるのか。それらについて調べた研究はこれまでにもあったが、一貫した結果は得られていない。また、対照群の設定が難しいこともあって、当初の死亡率上昇が骨折関連なのか、健康状態が悪いことに起因するのかは明確になっていなかった。

 著者らは、米国の4地域で行われた地域社会ベースの多施設前向きコホート研究Study of Osteoporotic Fractureに86~88年に登録された65歳以上の女性を、05年12月まで追跡(追跡期間の平均は14.4年)。その間に股関節骨折があった1116人(平均年齢73.0歳)を抽出して、年齢がマッチするコントロールを患者1人当たり4人まで、計4464人選び、骨折から1年以内、2年目から5年目まで、6年目から10年目までの死亡について分析した。

 ベースラインの年齢、BMI、股関節部の骨密度(二重エネルギーX線吸収法による)、喫煙歴、飲酒歴、修正簡易精神症状検査(3MS)、健康状態、いすからの立ち上がり動作(神経筋機能の指標)、医療歴などに関する情報を得て、多変量調整に用いた。

 骨折群の追跡期間中の死亡は655人で、対照群と比較した死亡の多変量調整オッズ比は2.0(1.6-2.4)になった。骨折から1年以内には189人(16.9%)が死亡。対照群の死亡は374人(8.4%)で、オッズ比は2.4(1.9-3.1)だった。対照群の死亡は1年間均等に認められたが、骨折群では1年以内に死亡した189人のうち52.4%が骨折後3カ月間の死亡だった。

 2年目から5年目までの死亡の多変量調整オッズ比は、1.2(0.9-1.5)、6年目から10年目までの死亡は1.4(0.8-2.6)となり、対照群との差は有意ではなくなかった。

 骨折後の死亡と年齢の間には有意な関係が見られた。患者を70歳未満(1630人)、70~79歳(3235人)、80歳以上(715人)に層別化したところ、骨折群の死亡リスクは年齢上昇と共に低下した(P=0.002)。対照群と比較した骨折群の追跡期間中の死亡のオッズ比は、それぞれ2.9(2.0-4.1)、1.8(1.4-2.2)、0.9(0.5-1.7)で、骨折後1年のオッズ比は5.0(2.6-9.5)、2.4(1.8-3.3)、1.1(0.6-2.1)となった。

 70歳未満の患者のみ、リスク上昇は2年目以降も持続した。5年目までのオッズ比は1.9(1.1-3.2)、6年目から10年目までのオッズ比も3.2(1.0-10.2)になった。70歳以上の患者では2年目以降は死亡リスク上昇は見られなかった。

 両群共に多かった死因は、冠動脈疾患、癌、脳卒中などで、骨折群と対照群の冠疾患、脳卒中、敗血症の死亡率に差はなかった。しかし、肺炎(骨折群10.5%、対照群5.6%、P<0.001)、認知症(9.2%と6.7%、P=0.03)、骨粗鬆症性骨折(2%と0%、P<0.001)による死亡は骨折群に有意に多かった。一方、対照群には癌死亡が多かった(11.0%と18.2%、P<0.001)。

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