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Ann Intern Med誌から
急性肺塞栓の可能性を除外する4つの判断基準の精度は同等
除外にはDダイマー併用が条件、前向きコホート研究の結果

 急性肺塞栓症の可能性を除外するために使用できる標準化された臨床判断基準CDR)は複数存在する。オランダAmsterdam自由大学のRenee A. Douma氏らは、Wellsルール簡略化Wellsルール改訂Genevaスコア簡略化改訂Genevaスコアという4つのCDRを、Dダイマー検査と併用した場合の肺塞栓症の除外精度を直接比較する前向き多施設コホート研究を行った。この結果、4つのCDRの精度は同様で、施設ごとに最適なものを選べばよいことが示された。論文は、Ann Intern Med誌2011年6月7日号に掲載された。

 CDRを利用すれば、肺塞栓症が疑われた患者の20~40%について、造影CTなどを行うことなく肺塞栓の可能性を否定でき、血栓溶解薬の投与を回避できることが示されている。だが、これらのCDRの精度を直接比較した研究はこれまでなかった。

 著者らは4つのCDRをDダイマー検査と併用した場合の、急性肺塞栓症の除外精度を直接比較する前向き研究を、オランダの7カ所の病院で実施した。

 突然の呼吸困難、呼吸困難の悪化、胸膜炎性の胸痛を呈し、臨床的に初回の急性肺塞栓症が疑われた18歳以上の患者807人(外来患者が644人、入院患者が163人)を登録、それぞれに4つのCDRの全てを用いて評価すると共に、条件に応じて高感度Dダイマー測定も行った。

 各CDRによる除外の基準は、Wellsルールのスコアが4ポイント以下、簡略化Wellsルールのスコアが1ポイント以下、改訂Genevaスコアが5ポイント以下、簡略化改訂Genevaスコアが2ポイント以下とし、いずれか1つでもスコアがこのカットオフ値を超えれば「肺塞栓症の可能性あり」と判定した。診断と介入は以下の原則に基づいて行った。

 (1)すべてのCDRが肺塞栓の可能性を否定し、Dダイマー値が正常域(0.5μg/mL未満)の患者は、肺塞栓の可能性なしとし、抗凝固薬の投与は控えて3カ月追跡。

 (2)すべてのCDRが肺塞栓の可能性を否定したが、Dダイマー値が異常だった患者には、CT検査を実施。

 (3)1つ以上のCDRが肺塞栓の可能性を示した患者には、CT検査を実施。

 (4)すべてのCDRが肺塞栓の可能性を示した患者には、CT検査を実施。

 (2)から(4)に該当したものの、CT検査の結果、肺塞栓が否定された場合には、抗凝固薬の投与は行わず、3カ月追跡した。CT検査の結果が肺塞栓の有無を明確に示さなかったケースについては、さらなる検査を実施。CT検査の結果が肺塞栓を示した患者には、抗凝固薬を投与するとした。

 4つのCDRの結果がすべて一致した患者は564人(71%)、一致しなかった患者は243人(29%)だった。

 4つのCDRの全てが肺塞栓症を否定し、Dダイマー値も正常だった患者は169人(21%)。このうち7人については、指示されていないCTが行われ、1人に肺塞栓が見つかった(診断の失敗率は0.6%、95%信頼区間0.02-3.3%)。残りの168人の中に、3カ月の追跡期間中に静脈血栓塞栓症(VTE)と診断された患者はいなかった。

 CT検査を指示された638人(79%)のうち、373人はCDRにより、265人はDダイマー値の異常によりCT検査が必要とみなされていた。638人のうち、CT検査を受けなかった患者が9人、CTにより肺塞栓と診断された患者は184人、肺塞栓が否定された患者が435人、CTでも診断がつかなかった患者が10人いた。

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