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European Cancer Congress 2013の会場風景

 2013年の欧州の癌学会(European Cancer Congress〔ECC〕2013)は、European CanCer Organization(ECCO)、European Society for Medical Oncology(ESMO)、European SocieTy for Radiotherapy & Oncology(ESTRO)の3つの学会の共催で、オランダ・アムステルダムにて9月27日から開催されました。

 米国臨床腫瘍学会(ASCO)と並び世界最大級と言われる癌関連学会だけに、ASCOと同様に多くの新しい知見が発表され、世界中から多くの参加者を集めました。明日からの実地診療に応用されるのだと思います(ECCで注目された発表は、日経メディカル オンラインの癌専門情報サイト「癌Experts」に掲載しています)。

 こうした“Brand-new”な知見が数多く発表される一方で、会場ではディベートセッションが数多く組まれていました。残念ながら取材の都合で、1つしか聴講することができませんでしたが、ディベートセッションはとても学ぶことが多いセッションの1つです。

 ディベートに立つエキスパートは、ご自身の考えや思いはさておき、ある薬剤や治療法を徹底的に“お勧め”する一方で、時に相対する薬剤や治療法の欠点を辛辣に指摘します。「実際に診療で用いるとそんなこともあるのか」「あのエビデンスはそういう見方もあるのか」などと、改めて勉強させられます。

 今回、ECCで聴講したディベートセッションのタイトルは、「There is no Need for More VEGFR TKIs to Treat Renal Cell Cancer」でした。

 腎細胞癌は、血管が豊富な癌であり、血管増殖因子(VEGF)の受容体を阻害するチロシンキナーゼ阻害薬(VEGFR TKI)が有効であることが示されて以来、現在までに4つのVEGFR TKIが使用可能になっています(米国の場合、日本では3剤)。さらにいくつもの新しいVEGFR TKIが開発中です。

 癌治療においては、1つの薬剤が著効しても、いずれその薬剤に不応となり、病勢が進行してしまうことが知られています。そのため、数多くの薬剤が登場した腎細胞癌治療では、1つの薬剤を、時に減量や休薬を交えながらできるだけ長く使い、病勢が進行してしまったら次の薬剤を使って予後を改善していくという逐次治療に注目が集まっています。ある泌尿器科医は、「これだけ選択肢があると、目の前の患者にどれから使っていけば良いのか悩むけれど、癌診療においてはとても恵まれている状況だね」と話されていました。癌という手強い敵には、戦うための武器は多ければ多いほど良い、ということですし、それはどの医師も同じ考えだと思います。

 しかし、ディベートですから、「これ以上、VEGFR TKIは必要ない」という立場で登壇した医師がいるわけです。このディベートでは、「必要」または「必要ない」の立場でそれぞれ2人の医師が講演されました。戦うための武器は多いほど良い、と言われる中で、「必要ない」の立場でどんな主張が展開されるのか、興味深く拝聴しました。

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