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C型肝炎の薬に抗HIV薬が配合されているワケ

2016/04/18

 「ついに来ちゃいましたね」。ハーボニー配合錠(一般名レジパスビルアセトン付加物・ソホスブビル)を初めて投薬したケンシロウは興奮気味に話す。「薬価が下がったとはいえ、1錠5万5000円くらいしますからね。ということは、さっき渡した28錠入りボトル1本で、えーっと……150万円超えますね」

 ハーボニーは確かに高薬価ではあるが、インターフェロン(IFN)中心の治療だった頃と比べると、治療期間や副作用といった患者への負担は軽くなった。何より、治療効果が比べ物にならない。IFNフリーのDAA(direct-acting antiviral:直接作用型抗ウイルス薬)治療は、日本人のC型肝炎ウイルス(HCV)キャリアの約7割を占め、治療抵抗性を示していたジェノタイプIb型にも有効だ。さらに従来、治療をためらっていた高齢者などにも幅広く治療が可能となった。

 中でも、ハーボニーに配合されている核酸アナログ製剤のソホスブビルソバルディ)はC型肝炎治療のキードラッグと目されている。核酸アナログ製剤は、蛋白質を標的としている他の抗ウイルス薬よりも耐性変異が生じにくい。さらに、ハーボニーの国内第3相試験では、NS5Aの耐性変異がある患者を含んでいたにもかかわらず、その治療成功率は100%だった。この治療効果の高さに加え、副作用の少なさや治療期間を考えると、ハーボニーが第一選択薬として活躍していくことは間違いない。HCVのライフサイクルとDAAの主な作用部位を図1に示す。

著者プロフィール

山本雄一郎(阪神調剤ホールディンググループ 有限会社アップル薬局[熊本市中央区])
やまもと ゆういちろう氏 1998年熊本大学薬学部卒業。製薬会社でMRとして勤務した後、アップル薬局に入社。2017年4月にアップル薬局が阪神調剤ホールディンググループの一員に。ブログ「薬歴公開byひのくにノ薬局薬剤師。」を執筆中。2017年3月に『薬局で使える実践薬学』(日経BP)を発刊。2017年4月より熊本大学薬学部臨床教授。

連載の紹介

山本雄一郎の「薬局にソクラテスがやってきた」
薬局で患者さんの何気ない言葉にハッとしたり、後輩からの意表を突く質問に筋道立てて説明できなかったりしたこと、ありませんか? そんな臨床現場に転がる疑問の裏には、薬学の根幹を成す真実が隠れていることも。それらの真実を、「薬局薬学のエディター」を志す熱血薬剤師の山本氏がモノローグ調で解き明かします。

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