DI Onlineのロゴ画像

ネオーラルと併用できるスタチンはどれ?

2016/02/09

 「ユウさん、ちょっといいッスか。昨日の患者さんで、調剤の段階でユウさんが疑義照会してくれてた症例なんスけど……」

 立春を過ぎたというのに、2~3日周期でジェットコースターのように気温が変動するこの頃。今日は小雪がちらつき、薬局のエアコンはフル稼働。そして、僕の肩はカチコチだ。なのに、白衣を間違えましたよ、と豪快に笑い飛ばしていた半袖白衣のケンシロウは、この寒さを意に介する素振りもない。

 「ネオーラルを服用しているネフローゼのUさん。最初リバロが出ていたのを、ユウさんがローコールを提案して変更になったんですよね? クレストールはリバロと同じ『併用禁忌』だからナイとしても、どうして同じストロングスタチンのリピトールとか、水溶性のメバロチンとかじゃないんですか?」

 ネフローゼ症候群の治療の基本はステロイドだが、効果不十分の際にはネオーラル(一般名シクロスポリン)などの免疫抑制剤が追加される。また、この病態は高LDL血症を合併しやすい。そのため、シクロスポリンとスタチン系薬が併用されるケースは、決して珍しくない。そして、添付文書上は、リバロピタバスタチンカルシウム水和物)とクレストールロスバスタチンカルシウム)だけがネオーラルと併用禁忌となっている。

 しかし僕は、ネオーラルと併用可能なスタチンはローコールフルバスタチンナトリウム)だけだと考えている。

※ネフローゼ症候群の患者では、多量のアルブミンなどの蛋白が糸球体で濾過されるため、尿細管でも再吸収し切れず、尿中に蛋白が漏出する。そのため血液中のアルブミンが低下し、低アルブミン血症による浮腫を伴うことが多い。その一方で、血液中のアルブミン減少による膠質浸透圧の低下のため、肝臓でのアルブミン合成が亢進する。肝臓でアルブミンが合成される際、LDLの合成に関するアポ蛋白も同時に合成されるため、ネフローゼ症候群の患者は高LDL血症を合併しやすい。(参考文献:平田純生編『腎臓病薬物療法ベーシック』[じほう、2015])

著者プロフィール

山本雄一郎(阪神調剤ホールディンググループ 有限会社アップル薬局[熊本市中央区])
やまもと ゆういちろう氏 1998年熊本大学薬学部卒業。製薬会社でMRとして勤務した後、アップル薬局に入社。2017年4月にアップル薬局が阪神調剤ホールディンググループの一員に。ブログ「薬歴公開byひのくにノ薬局薬剤師。」を執筆中。2017年3月に『薬局で使える実践薬学』(日経BP)を発刊。2017年4月より熊本大学薬学部臨床教授。

連載の紹介

山本雄一郎の「薬局にソクラテスがやってきた」
薬局で患者さんの何気ない言葉にハッとしたり、後輩からの意表を突く質問に筋道立てて説明できなかったりしたこと、ありませんか? そんな臨床現場に転がる疑問の裏には、薬学の根幹を成す真実が隠れていることも。それらの真実を、「薬局薬学のエディター」を志す熱血薬剤師の山本氏がモノローグ調で解き明かします。

この記事を読んでいる人におすすめ