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LABAがLABAたるゆえんを探る

2015/08/11

 「喘息の吸入薬の棚位置、変わったんですね~」。あゆみさんは背伸びをして、棚の高い所に置かれた薬を確かめている。「こうやって改めて眺めてみると、GSK(グラクソ・スミスクライン)の商品が結構ありますね」。そうつぶやくと、セレベント(一般名サルメテロールキシナホ酸塩)のカートンを開封し、添付文書を広げて、何やら熱心に読み始めた。

 「いや、LABAはなんでLABAなんだろうな~と、ふと思いまして。薬価収載は2002年6月かぁ。その頃はまだ小学生ですよ、私」。あゆみさんは、なぜかちょっぴり不満気にまくしたてた。

 「ユウさんはその頃、薬剤師ですよね。うらやましいというかズルいというか。だって、新しい薬が出てきた時に一つひとつ勉強した方が、順番に理解していけるじゃないですか。私なんて、一気に勉強しないといけないですからね。シムビコートに入っているホルモテロールは、LABAなのにSABAみたいに即効性があるし……分からないことばっかり」

 なるほど、そういう考えもあるのか。僕にとっては、若さはうらやましいし、何より薬学部も6年制教育になって、大学でたっぷり学んでいるだろうから、そっちの方が良いと思うのだが。

 それはさておき、あゆみさんの質問を順に見ていこう。まず、LABAはなぜLABAなのか? これを考える出発点として、まずはGSKの吸入薬に含まれるSABA(短時間作用性β2受容体刺激薬)とLABA(長時間作用性β2受容体刺激薬)の構造式を並べてみよう(図1)。

著者プロフィール

山本雄一郎(阪神調剤ホールディンググループ 有限会社アップル薬局[熊本市中央区])
やまもと ゆういちろう氏 1998年熊本大学薬学部卒業。製薬会社でMRとして勤務した後、アップル薬局に入社。2017年4月にアップル薬局が阪神調剤ホールディンググループの一員に。ブログ「薬歴公開byひのくにノ薬局薬剤師。」を執筆中。2017年3月に『薬局で使える実践薬学』(日経BP)を発刊。2017年4月より熊本大学薬学部臨床教授。

連載の紹介

山本雄一郎の「薬局にソクラテスがやってきた」
薬局で患者さんの何気ない言葉にハッとしたり、後輩からの意表を突く質問に筋道立てて説明できなかったりしたこと、ありませんか? そんな臨床現場に転がる疑問の裏には、薬学の根幹を成す真実が隠れていることも。それらの真実を、「薬局薬学のエディター」を志す熱血薬剤師の山本氏がモノローグ調で解き明かします。

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