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「プラザキサとイグザレルトってどちらもP-糖蛋白の基質なのに、なぜこうも違うの?」

2014/03/18

 先日、プラザキサ(一般名ダビガトランエテキシラートメタンスルホン酸塩)に続き、新しいNOAC(new oral anticoagulant、ノアック)が当薬局で採用となった。イグザレルト(リバーロキサバン)だ。イグザレルトは1日1回の服用で済むので、服薬アドヒアランス向上にもつながると期待される。きっと、投薬する機会も増えていくことだろう。

 早速、このハイリスク薬のチェック表を作成するよう、当薬局のエース・ケンシロウに依頼した。体育会系の彼は仕事が早い。しかし、今回は引っ掛かることがあるようだ。でかい体に似合わず、モジモジしながら僕にこう話してきた。

 「プラザキサのチェック表を参考に、イグザレルトのチェック表を作っているんですが、同じP-糖蛋白の基質なのに、色々違うんですよね。併用禁忌も、併用注意も。なぜこうも違うのでしょうか。CYPの方が、影響が大きいということなんですかね?GFJはイグザレルトでも注意した方がいいんですか」

 「同じP-糖蛋白の基質」、「CYPの方が」、そして「GFJ(グレープフルーツジュース)」。一気に出てきたが、僕が一番気になったのは、「同じP-糖蛋白の基質」という言葉だ。「違う」物を、言葉で「同じ」とくくってしまったのは、ケンシロウ、君の意識だ。

 「差異が意味を生む」。こう言ったのはスイスの言語学者のソシュールだ。ケンシロウにもこの言葉を教える時が来たようだ。

 プラザキサとイグザレルトは、確かに同じNOACで、同じP-糖蛋白の基質ではあるが、プラザキサとイグザレルトの体内動態と、それに伴う相互作用は全く異なる。

 まずは、添付文書とインタビューフォームを基に、両剤のプロファイルを一覧にしてみる。

著者プロフィール

山本雄一郎(阪神調剤ホールディンググループ 有限会社アップル薬局[熊本市中央区])
やまもと ゆういちろう氏 1998年熊本大学薬学部卒業。製薬会社でMRとして勤務した後、アップル薬局に入社。2017年4月にアップル薬局が阪神調剤ホールディンググループの一員に。ブログ「薬歴公開byひのくにノ薬局薬剤師。」を執筆中。2017年3月に『薬局で使える実践薬学』(日経BP)を発刊。2017年4月より熊本大学薬学部臨床教授。

連載の紹介

山本雄一郎の「薬局にソクラテスがやってきた」
薬局で患者さんの何気ない言葉にハッとしたり、後輩からの意表を突く質問に筋道立てて説明できなかったりしたこと、ありませんか? そんな臨床現場に転がる疑問の裏には、薬学の根幹を成す真実が隠れていることも。それらの真実を、「薬局薬学のエディター」を志す熱血薬剤師の山本氏がモノローグ調で解き明かします。

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