
こんにちは、酒井美佐子です。今の時期、各地のバラ園では、華やかな香りとともに数多くの種類のローズが咲き乱れていますね。ローズは、鑑賞用や芳香、化粧品、入浴などの美容用、そしてお料理やメディカルハーブとして、あらゆる分野で活躍する素晴らしい植物です。
メディカルハーブとして使われるローズは、オールドローズと言われる原種に近い品種で、鑑賞のものとは異なります。こうしたオールドローズには、「香りの女王」と呼ばれ精油に用いられるダマスクローズ(Rose damascena)や、アポテカリーローズ(薬屋のバラ)として名の知れたガリカローズ(Rose gallica)などがあります。その花を用いて、ハーブティーやチンキ剤、精油、ジャムなどの食品、化粧品の原料として幅広く使われています。
中でもローズのチンキ剤は、お菓子や飲料、入浴剤に使えるほか、水で薄めてうがい薬にもなるという万能ぶり。これは、ローズに精油成分のゲラニオール、シトロネロール、ネロールに加え、収れん作用を持つタンニンが含まれているためです。ヨーロッパでは、昔、喉の痛み止めとしてローズチンキが処方されてきたという歴史があります。
もしローズの花びらがたくさん手に入ったら、ローズチンキを作ってみてはいかがでしょうか。作り方は:
1)加熱殺菌した蓋つきのガラス瓶に乾燥したローズの花びらを3分の1ほど入れる。
2)アルコール(ウォッカやホワイトリカーなど)を、ハーブが浸かるまで注ぐ。
3)瓶を約2週間、冷暗所に保管する。その間は、1日1~2回瓶を振る。
4)ローズの色がアルコールに溶け出してきたら、ガーゼで濾して花びらを取り除く。