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「なぜ転職を考えているの?」と尋ねてみたら……。

2014/09/17

 先日、卒業して1年ちょっとという薬剤師さんと立ち話をする機会がありました。「色々とあって、転職を考えているんです」と彼女は目をぱちっと見開きながら言いました。

 転職の話題は、現在の薬剤師さんの間では、よく飛び交っていることでしょう。以前、薬系大学の就職担当の先生とお目にかかったときに、転職の話題になったことがありますが、「1年ちょっとで転職する卒業生は、結構多いですよ」と苦笑まじりにおっしゃっていました。

 1年ちょっとで転職することが別段珍しいことではないのだと思ってしまう自分、ひいてはそれを容認してしまっている業界そのものが、怖い気がします。

 新卒で就職して1年ちょっと――。それぐらいの時期は、医療系の仕事であっても、そうでなくても、普通は仕事を覚えるのに精一杯で、自分の適性があるかどうか、能力的にこなせるかどうか、といったことに頭を悩ます時期ではないでしょうか。そんな時期に、どうして転職という考えがすっと出てくるのか、正直、不思議でもあります。現実として、薬剤師として1年ちょっとで転職は少し早くないのかな、と感じます。

 立ち話でしたし、軽い気持ちで「どうして転職を考えているの?」と尋ねてみました。すると彼女曰く、まず一つには、患者さんと接する時間がすごく短いということだそうです。毎日が処方箋調剤をこなす日々で、患者さんとゆっくりコミュニケーションを取る余裕がない。慌ただしく1日が過ぎていき、自分が思っていた薬剤師の在り方とは、かなりギャップがあって、それがちょっと……と、物憂げに彼女は話してくれました。

 なるほど、なるほど。私も薬剤師3.0という概念を考えていくときに、そこに大きな疑問を持っていました。機械的作業のように外部からは見えてしまう仕事の中で、どうやって医療人としてのやりがいを見いだしていくのかな、と。やっぱり、そう思うよね、と頷く私に、彼女は続けました。

 「あと、人間関係って大切だと思うんですよ」と。

 なるほど、なるほど。それもよく分かります。どんな仕事も、仲間とチームワーク良く取り組んでいくことが大切だし、それが会社で働く醍醐味ですしね。

 でも、続く言葉に衝撃を受けました。

著者プロフィール

狭間研至(ファルメディコ株式会社[大阪市北区]代表取締役、思温病院[大阪市西成区]理事長)
はざま けんじ氏。薬局の息子として育ち、大阪大学医学部を卒業して外科医に。2004年、同大学大学院医学系研究科臓器制御外科(博士課程)修了と同時に、実家の薬局を継承。薬局経営を続けながら、医師としては在宅療養診療所勤務を経て、17年1月より思温病院(大阪市西成区)の理事長に就任。薬剤師生涯教育、薬学教育にも積極的に取り組んでいる。

連載の紹介

狭間研至の「Road to 薬剤師3.0」
「日本の地域医療をこれまで以上に機能させるには、薬局・薬剤師が第3世代(=3.0)に進化することが不可欠」という持論を持つ狭間氏。薬局経営者として、時に臨床医として、多忙ながらも充実した日々を送る狭間氏が、日常のちょっとした場面を切り取りながら、次世代の薬局や薬剤師のあり方を発信します。

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