心原性ショックを合併した急性心筋梗塞の患者に対して行われる動脈内バルーンパンピング(IABP) は、30日間の死亡率を著しく減少させなかったことが報告された。IABP-SHOCK II試験で明らかになったもので、成果は欧州心臓学会(ESC)において独Leipzig大学のHolger Thiele氏らが発表した。
IABP-SHOCK II試験は、無作為化、前向きオープンラベル多施設共同試験で、独の37医療センターが参加して行われた。対象は、急性心筋梗塞の患者で心原性ショックを合併した600人。患者は無作為にIABP群(301人)と対照群(299人)に割り付けられた。
早期血行再建術は、経皮的冠動脈インターベンションまたはバイパス手術と最適な薬物療法によって実施された。有効性の主要評価項目は、30日間の全死因死亡率とした。安全性は大出血、末梢虚血性合併症、敗血症や脳卒中の発症で評価した。
試験の結果、30日間の死亡例は、IABP群が119例(39.7%)、対照群が123例(41.3%)で、両群に有意差は認めなかった(相対リスク:0.96、95%信頼区間:0.79-1.17、P=0.69)。
また、副次評価項目とした血行動態の安定、集中治療室滞在期間、血清乳酸値、カテコールアミン投与量と期間および腎機能への影響などにおいても、両群に著しい差は見られなかった。
安全面では、大出血率(IABP群4.4% vs. 対照群3.3%、P=0.51、以下同)、末梢虚血性合併症(3.4% vs. 4.3%、P=0.53)、敗血症(20.5% vs. 15.7%、P=0.15)、脳卒中発症率(0.7% vs. 1.7%、P=0.28)などとなり、両群に著しい差は認めなかった。
これらの結果から演者らは、「早期血行再建戦略において、IABPは心原性ショックを合併した急性心筋梗塞の患者における30日間の死亡率を減少させなかった」と結論付けた。
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