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日本高血圧学会2011
Ang II標的のDNAワクチン、半年間の降圧を確認
SHRでの検討、難治性高血圧の治療や合併症予防が可能か

2011/12/02
編集部

阪大臨床遺伝子治療学の森下竜一氏

 阪大臨床遺伝子治療学の森下竜一氏らは、高血圧に対するワクチン開発に取り組んでいる。第34回日本高血圧学会総会(10月20~22日、開催地:宇都宮市)で同氏は、これまでの研究成果を紹介。アンジオテンシン(Ang)IIを標的としたDNAワクチンの自然高血圧発症ラット(SHR)への接種により、半年間持続する降圧効果を確認したと報告した。

 先行して開発されているAng IIのペプチドワクチンは、第2相試験に入っている。森下氏らの検討でも抗体産生が確認され、Ang II刺激による血圧上昇や心リモデリングは抑制されたが、残念ながら抗体価は持続しなかった。

 そこで森下氏らは、高血圧に対するDNAワクチンの開発を試みた。DNAワクチンは、(1)DNAによる自然免疫系の活性化作用がありアジュバントを必要としない、(2)T細胞の活性化が強く抗原提示期間も長いため、免疫反応が強く効果が持続する可能性がある、(3)癌や感染症では臨床試験が進行しており、動物用薬剤が市販されている――といったメリットがある。

 今回の検討では、Ang IIのアミノ酸配列をコードしたDNAとB型肝炎ウイルスコア蛋白(HBc)のDNAを融合させたプラスミドを作成、これを針無注射器によりSHRに接種した。HBcは免疫原性が高く、抗体産生を効率的に行うことができる。またアジュバントを用いない分、効率的に抗体産生を惹起させる必要があるため、ワクチン接種は確実に皮下に投与できる針無注射器(島津製作所のShima Jet)を用いた。

 SHR(n=14)を、HBc-Ang IIワクチン群、HBcワクチン群、対照(生理食塩水)群の3群に分け、DNAワクチン(100μg)または生理食塩水を、SHRの背部2カ所に2週ごとに3回接種し、24週まで追跡した。

 その結果、HBc-Ang IIワクチン群では、2回目のワクチン接種から2週後には抗体産生が確認され、24週後まで持続していた。抗体はAng IIおよびAng Iには反応したが、アンジオテンシノーゲンには反応しなかった。
 

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