日経メディカルのロゴ画像

日本成人先天性心疾患学会2011
循環器医の参画望まれる成人先天性心疾患診療
積極的な循環器内科は回答施設の3分の1にとどまる

2011/01/25
高橋 浩=メディカルライター

東大大学院の落合亮太氏

 先天性心疾患は、もはや小児だけの病気ではない。小児患者の多くが長期生存できるようになっている。成人に達した患者は全患者の半数を超え、全国で40万人以上を数える。これまでの小児科中心の診療はパンク寸前で、循環器内科医の参画が強く望まれている。

 全国の循環器内科約140施設を対象としたアンケートから、成人先天性心疾患ACHD)の診療に積極的な施設は3分の1にとどまること、診療の中心的な役割を果たす集約化施設の候補が全国で14施設あることなどが明らかになった。東大大学院成人看護学の落合亮太氏が、第13回日本成人先天性心疾患学会学術集会(1月8~9日、開催地:福岡市)で発表した。

 欧米では早くから、ACHD専門医を軸にチーム医療を行う専門施設と地域の一般病院の連携による診療システムが構築され、ガイドラインに基づいた治療・管理が行われている。わが国はいまだACHDに対する認識が低く、小児循環器科や一部の心臓血管外科施設が個々に対応しているのが現状だ。

 しかし、成人患者は1997年に全患者の半数を超え、その後も毎年1万人近く増えている。あと10年もすればACHDも成人の病気とみなされるようになるとの指摘もある。成人患者が増えれば、加齢に伴う生活習慣病の発症も増える。それが先天性心疾患の病態を悪化させることもある。小児科医だけでは対応しきれず、循環器内科医などの協力を得た欧米のような診療システムの確立が強く望まれている。

 落合氏によると、欧米では、人口300万~1000万人に1カ所の割合で集約化施設が設置されている。regional ACHD center、ACHD specialist centerなどと呼ばれ、一般の施設と密接に連携する一方、すべての潜在的医療ニーズに応えている。

 ACHD患者は、原疾患、術式、症状などから、severe、moderate、mildの3群に分類されるが、severe群は常に集約化施設でフォローアップされ、moderate群は定期的に集約化に通院する。mild群は基本的に一般病院でフォローアップを受けるが、成人後少なくとも1回は集約化施設を受診することが推奨されている。

 欧州の集約化施設の施設基準としては、以下のような条件が掲げられている。
(1)1人以上ACHD専門医がいる
(2)小児循環器・小児心臓血管外科治療の提供が可能
(3)十分な患者数と手術数がある
(4)2人以上の小児心臓血管外科医がいる
(5)年間125件以上の小児血管外科手術、50件以上のACHD手術を行っている
(6)カテーテル、ペースメーカー、埋込型除細動器(ICD)関連の経験豊富なスタッフ、設備が備わったelectrophysiology laboratoryがある
(7)1人以上のACHDに特化した看護師がいる

 Euro Heart Surveyによると、このような条件を満たす集約化施設が各国に1~5施設あり、これらの施設の90%に、循環器内科をバックグラウンドとするACHD専門医が配置されている。
 

この記事を読んでいる人におすすめ