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日本冠疾患学会2010
CTOへのPCI逆行性アプローチ、成功率は84%
安全性は高いが手技の難易度もまた高い

2011/01/21
軸丸 靖子=医療ライター

北海道社会保険病院の五十嵐康己氏

 慢性完全閉塞病変(CTO)への経皮的冠動脈インターベンション(PCI)では、近年、良好な側副血行がある場合に逆行性アプローチを合わせた両方向性アプローチが多く試みられるようになっている。だが、その安全性や有効性はまだ明らかでない。

 北海道社会保険病院心臓血管センター心臓内科の五十嵐康己氏は、全国27施設で2009年に行われたPCIの全例登録データから、CTOへのPCI施行実績を分析。このうち逆行性アプローチが採られたのは24.5%で手技成功率は84.1%だったと、第24回日本冠疾患学会学術集会(2010年12月10~11日、開催地:東京千代田区)の合同シンポジウム「CTO治療を見直す」で報告した。

 CTO病変に対するPCIの難しさは、「ブラインドで行う手技であること」(五十嵐氏)の一言につきる。術者は病変の入り口から出口までの血管走向形態を想像し、血管造影(IVUS)と感触で確かめながらガイドワイヤーおよびカテーテルの挿入を進めなければならない。

 多列CTの進歩によって病変内部の石灰化の程度といった情報は正確に得られるようになったが、それでも、血管の湾曲や血管内超音波検査(IVUS)で同定不能の石灰化病変などがあると、成功率は有意に低下してしまう。

 その成功率を上げるため近年注目されているのが、従来の順行性アプローチに逆行性アプローチを組み合わせる両方向性アプローチだ。その1つ、閉塞部の遠位端まで側副血行路から逆行性にガイドワイヤーを進めバルンで偽腔を作り、その偽腔に順行性にガイドワイヤーを進め遠位部と近位部を交通させるCART(Controlled Antegrade Retrograde Subintimal Tracking)法は、わが国の単独施設の検討(05年)で92%という高い成功率が報告されている。

 ただし、一般の施設でこれと同じ成功率を上げられるとは限らない。また、逆行性アプローチではワイヤーによる側副血行の損傷やドナー血管の損傷、虚血の継続、血栓の注入、バルンやワイヤーのエントラップメントといった特有の問題がある。ひとたび合併症が起こると、順行性アプローチ以上に重篤な合併症が起こるリスクは高い。

 そこで五十嵐氏らは、一般のPCI施行施設におけるCTOへの逆行性アプローチについて、成功率および治療戦略、合併症の実態について検証した。
 

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