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日本心臓病学会2010
「心電図、BNPともに異常なら心エコー」が低コスト
偽陰性はやや増えるが定期的な健診受診で拾い上げ可能

2010/10/04
軸丸 靖子=医療ライター

国際医療福祉大の池田俊也氏

 循環器疾患にかかる医療費は現在、医療費総額の5分の1に上るとされ、検査および治療の費用対効果の改善は医療経済面からも求められる課題となっている。そのなかで注目されるのが、心疾患スクリーニングにおける脳性ナトリウム利尿ペプチド(BNP)検査の活用だ。

 国際医療福祉大の池田俊也氏は、既報の人間ドック受診者を対象とした研究データを再解析し、検査項目にBNPを加えた場合の2次検査を含めた総費用への効果を検討。

 心疾患スクリーニングで心電図、BNPとも異常な場合にのみ2次検査の心エコーを行うことで、その後の検査対象者を大幅に減らすことができ総コストも減少すると、第58回日本心臓病学会学術集会(9月17~19日、開催地:東京都千代田区)の特別企画「循環器疾患の医療経済学(重症心不全治療の医療経済)」で述べた。

 池田氏が検討に用いたのは、岩手医大の中村元行氏らが2002年に発表した研究データだ。98~00年に岩手県予防医学協会の人間ドックを受診した1098例(平均年齢55.8歳、男性693例、女性405例)を対象に、胸部X線、心電図、心エコー、血圧測定、一般血液検査、BNP検査を実施したもので、カットオフ値を40pg/mLとしたBNPの測定は左室収縮不全を含むあらゆる心異常の同定に有用であり、費用効果も高いと結論された。

 今回池田氏は、心疾患スクリーニングのモデルとして、(A):1次検査では心電図検査のみを行い、異常があれば2次検査で心エコーを行う、(B):1次検査で心電図とBNPの両検査を行い、どちらか一方が異常なら2次検査で心エコーを行う、(C):1次検査で心電図とBNPの両検査を行い、どちらも異常なら2次検査で心エコーを行う――という3パターンを設定。各モデルの感度、特異度、費用を検討した。

 実際の人間ドックでの健診では、心電図異常が301例(27.4%)、BNP異常が124例(11.3%)に認められ、最終的に47例(4.3%)が心不全と診断された。
 

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