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AHA2008 Report about the JUPITER vol. 1
木星ないしは雷神という名の“衝撃波”が世界を襲った(上)
心血管イベント予防のため健常人でも炎症マーカーをみるべきか

 米国ルイジアナ州ニューオーリンズ、2008年11月9日(日曜日)の午後3時45分。私は米国心臓協会・学術集会2008AHA2008)会場にいた。

 共同研究者がポスター発表していたErnest N. Morial会議場のHall Aから、オープニングセッションに引き続きLate Breaking Trialの発表が行われるHall Fに戻った私は、席取りのために置いたはずの自分のプログラムとノートがなくなっているのに気が付いた。

 案の定、誰かが床に捨てていた。仕方なく立すいの余地なく込み合った会場を見渡して、端に寄っていてもなるべく前列に空席を見つけた。これから世界中の循環器医療関係者が注目する大規模臨床試験、「JUPITER(Justification for the Use of statins in Primary prevention: an Intervention Trial Evaluating Rosuvastatin)」の結果が発表される。モデレーターとなったノースカロライナ大心臓センターのSidney Smith氏があいさつし始めても、発表を見逃すまいとなだれ込む人々のざわめきは止む気配がなかった。

 最初の演者であるハーバード大Brigham and Women's HospitalのPaul M. Ridker氏が壇上に姿を見せても、会場に入ろうとする人々の勢いは止まらない。会場が静かになったのは、演壇のAV機器の調子が悪く、何度かエンジニアが出入りした後だった。

治療群のリスクは44%も減少
 日経メディカル オンラインでは学会ダイジェスト(こちら)でも速報しており重複は避けたいが、簡単に事実を振り返っておこう。(関連記事 12/1追加

 JUPITER試験は、心血管疾患の既往あるいは糖尿病歴がなく、LDLコレステロール(LDL-C)が130mg/dL未満、高感度CRPhsCRP)が2mg/L以上の患者(男性50歳以上、女性60歳以上)を対象にした、プラセボ対照二重盲検無作為化試験。ロスバスタチン治療群(20mg/日、8901例)とプラセボ群(8901例)に割り付け、心血管イベントを比較した。

 LDL-Cは治療群で、試験開始前108mg/dL(中央値、以下同様)が48カ月後に55mg/dLへと半減したのに対し、プラセボ群は同108mg/dLが48カ月後も109mg/dLと不変だった(群間 p<0.001)。一方のhsCRPも、治療群では試験開始前4.2mg/Lが48カ月後に1.8mg/Lへ37%も有意減少したのに対し、プラセボ群は同4.3mg/Lが48カ月後に3.3mg/Lと不変だった(群間 p<0.001)。

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