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欧州心臓学会(ESC)2009
HotLine試験の結果は日常診療を変えるか?
ESC: Will HotLine Trials Change Practice?

2009/09/24

 薬剤に関する2つの試験と心臓再同期療法に関する1つの試験の結果が日常診療に反映されると、循環器診療は様変わりするはずだ。しかし、規制・医療経済・「縄張り争い」といった問題のどれか1つでも障害となれば、それは実現しないだろう。

 注目された薬剤の1つが、経口可能な直接的トロンビン阻害薬dabigatranだ。1万8000例の心房細動患者を対象としたheat-to-head試験において、dabigatranは投与に手間がかからず虚血性脳卒中および出血性脳卒中を共に減少させたことから、ワルファリンよりも優れると結論された。

 この結果は、米国心臓協会(AHA)会長で心不全を専門とするClyde Yancy氏のような慎重な臨床家でさえ、直ちに「game-changer」として歓迎した。

 リスボン大学のFausto Pinto氏は、「ワルファリンに代わる薬剤の探索は、50年間も行われてきた。dabigatranの出現によってこれが終わる可能性がある」と語った。

 欧州心臓学会(ESC2009)でプログラム委員長を務めたPinto氏は、3試験がHotLineセッションで報告されたとき、dabigatranには2つの大きなメリットがあると述べた。まず、同薬剤は少なくともワルファリンと同程度の効果があり、試験された高用量の150mg(1日2回投与)ではワルファリンよりも優れているとみられることである。もう1つは、ワルファリンで不可欠なINR検査や食事制限が不要になることだ。

game-changerかgeme overか

 しかし、米食品医薬品局(FDA)の祝福を受けない限り、dabigatranはワルファリンの代用薬にはなれない。開発しているBoehringer Ingelheim社は、今年の第4四半期にFDAに承認申請する予定と発表している。

 FDAの承認における懸念の1つが、dabigatran 150mg(1日2回)ではワルファリンと比較して、わずかだが統計的に有意な心筋梗塞の増加が見られたことである(89例対63例、P=0.048)。同社は、110mg(1日2回)と150 mg(1日2回)の両方で承認申請する見込みだ。

 別の直接的トロンビン阻害薬であるXimelagatran(商品名Exanta)は、肝毒性および心血管の影響のためにFDAの承認を得ることができなかった。

 MedPage Todayは、クリーブランドクリニックのSteven Nissen氏に、dabigatranでの心筋梗塞の増加について尋ねた。

 「この点だけは、ワルファリンの方がよいと思えます。私はExantaの委員会に参加し、まさにその点について述べましたが、Exantaとはやや事情が異なります。Exnataでは多くの心筋梗塞が、薬剤中止後短期間で発生していました。これは『リバウンド』現象なのかと問いただしました。ワルファリンは長時間作用型の薬剤ですが、直接的トロンビン阻害薬は短時間作用型なのでリバウンドが生じてしまうのかもしれません」と、Nissen氏は電子メールで答えた。

 

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