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No.10
心房細動リズム治療薬の効果は遺伝子多型と関連する

2012/08/27
渡邉英一=藤田保健衛生大学循環器内科

 症候性の心房細動に対してI群薬やIII群薬によるリズム治療を行う際に、同じ薬を処方しても、効果のある人と、効果のない人がある。これまでは心房のリモデリングの進行程度でそのような差が出るのだろうと思っていた。

 ゲノムワイド関連解析GWAS)によって、心房細動の発生に関与するSNP(1つの塩基が他の塩基に置き換わる一塩基多型)が明らかになった(詳細な解説は古川哲史氏、2012. 6. 12-国際メタ解析CHARGE studyを参照)。心房細動の発生と関連の深い主な染色体座は1q21、4q25、7q31、16q22などであり、さらにこれらは心原性脳塞栓症の合併(1)、カテーテルアブレーション治療の成否(2)、心臓手術後の心房細動発生(3)などと関連することも報告されている。

 SNPは遺伝的背景の個別化マーカーとして有用で、薬の効果や副作用とSNPの関連も知られている。最近、心房細動リズム治療薬の効果とSNPの関連を調べた研究が出たので紹介する。

【論文】
Babar Parvez, Joseph Vaglio, Shane Rowan, Raafia Muhammad, Gayle Kucera, Tanya Stubblefield, Shannon Carter, Dan Roden, Dawood Darbar
Symptomatic Response to Antiarrhythmic Drug Therapy Is Modulated by a Common Single
Nucleotide Polymorphism in Atrial Fibrillation. (J Am Coll Cardiol 2012; 60 [6]: 539-545)

【方法】
 対象はVanderbilt大学で心房細動リズム治療薬の投与を受けた676例(うち、discoveryコホート478例、validationコホート198例)である。症例はtypical AF(高血圧、虚血性心疾患、心不全などの基礎疾患を有するもの)とlone AF(基礎疾患がなく65歳以下)の2群に分けられ、I群薬またはIII群薬で治療がなされた。

 リズム治療成功者(responder)の定義は6カ月以上抗不整脈薬の変更がなく、75%以上の症状改善があったものとされた。非成功者(nonresponder)は症状の改善度が75%未満であり、6カ月以内に抗不整脈薬が変更されていたか、あるいは症状軽減のために非薬物治療(房室結節アブレーション+ペースメーカ植込み)に移行したものとした。

 さらに、再発の有無も検証した。治療開始後3カ月、6カ月、12カ月目に定期12誘導心電図を記録した。この際に心房細動が記録されなかった場合には、ホルター心電図やイベント心電計で確認した。また、ペースメーカ植込み患者ではgeneratorの心房細動記録を参照した。

 検討されたSNPは表1のとおりである。

著者プロフィール

●井川修(日本医大多摩永山病院内科・循環器内科臨床教授)●尾野恭一(秋田大生理学教授)●古川哲史(東京医科歯科大難治疾患研究所教授)●村川裕二(帝京大付属溝の口病院第4内科教授)●渡邉英一(藤田保健衛生大内科学講師)[五十音順]

連載の紹介

What’s New in Electrocardiology by JSE
不整脈学や心電図学の主要雑誌の中から、その道の第一人者が「なるほど」とうなった新着論文をピックアップ、新しい知見のポイントを分かりやすく解説します。

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