日経メディカルのロゴ画像

J Am Coll Cardiol誌から
心筋線維化マーカーGal-3高値が心不全発症と関係
心不全スクリーニングに有用の可能性

2012/09/14
難波 寛子=医師

 心筋の線維化マーカーとして注目されているGalectin-3Gal-3)の血中濃度が高いと、心不全発症のリスクが高いことがフラミンガム子孫研究で分かった。論文は、8月20日付のJ Am Coll Cardiol誌オンライン版に掲載された。

 心不全は症状発現後に治療を開始する場合、その時点で既に広範な心筋のリモデリングを認める場合も少なくない。症状発現前に高リスク例を特定し早期に介入できれば、合併症の抑制につながる。今回の研究結果は、Gal-3を用いた心不全スクリーニングの可能性を示すものと言える。

 研究は、フラミンガム子孫研究の参加者を対象に行われた。1995年から1998年にかけて行われた第6回経過観察で、Gal-3の血中濃度を測定した。測定用検体の得られた3450例のうち、既に心不全を発症している(n=40)、ステージ4の腎疾患(n=10)、共変数が得られず(n=39)、Gal-3測定値が得られず(n=2)、Gal-3の極端な外れ値(n=6)との理由で97例を除外し、3353例(97%)を最終的な解析対象とした。

 血漿中Gal-3濃度はELISA(enzyme-linked immunosorbent assay)法で測定した。測定下限は1.32ng/mL、上限は96.6ng/mLだった。

 経過観察の各時点において、期間内の心血管イベントの有無を確認し、臨床記録を入手した。初発の心不全に関しては、3人の医師が臨床記録を確認し、プロトコルおよびフラミンガム基準に従って心不全を確定した。本研究では、ベースラインの評価を行った1995年から1998年以降、2008年までの期間に発生した心不全を対象とした。

 心エコー検査を受けた対象者は2425例だった。

 対象者の平均年齢は59歳で、53%が女性だった。Gal-3の測定値には男女差があり、女性で高かった(P<0.05)。女性のGal-3の中央値は14.3ng/mL(四分位範囲:12.0~16.8ng/mL)、男性では13.1ng/mL(四分位範囲:11.1~15.4ng/mL)だった。

 多変量解析において、Gal-3と正に関連していた臨床的項目は、年齢、高血圧、BMI、冠動脈疾患、BNPであり、eGFRとは負の相関がみられた。R2値は0.15だった。

 心エコーに関して年齢と性別を調整して解析した結果、log Gal-3が1SD上昇すると、心筋重量上昇を認める可能性が2倍になることが分かった(Gal-3の1SD上昇当たりのオッズ比[OR]:2.02、95%信頼区間[CI]:1.33-3.08、P=0.001)。

この記事を読んでいる人におすすめ