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CMAJ誌から
抗血小板薬とSSRIの併用で出血リスクが増加
セロトニン再取り込み阻害の強さには関連せず

2011/12/14
山川 里香=医学記者

 心血管疾患患者の最高20%がうつ病に罹患しているとされ、そのような患者には選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)が処方されることが多い。カナダの研究者が急性心筋梗塞(AMI)後の患者を対象として検討したところ、抗血小板薬とSSRIを併用した場合は、出血リスクが約1.5倍高まることが明らかになった。この結果は、CMAJ誌11月8日号に掲載された。

 血小板は出血部位でセロトニンを放出するが、SSRIの投与によりその放出が抑制される。そのため、アスピリンやクロピドグレルなどの抗血小板薬による出血リスクを高める可能性がある。

 そこで、ケベック州の1997年1月~2007年8月の医療サービス管理データなどを利用して、地域住民を対象としたレトロスペクティブなコホート研究が行われた。

 対象は、1998年1月~2007年3月にAMIと診断され入院治療を受け退院できた50歳以上の患者、2万7058例とした。退院前の1年間にAMIや消化管出血により入院したことがある患者、および指標入院中に何らかの出血エピソードが発生した患者は除外した。

 退院時の抗血小板薬とSSRIの処方状況は、アスピリン(ASA)単独が1万4426例、クロピドグレル単独が2467例、ASA+クロピドグレルが9475例、ASA+SSRIが406例、ASA+クロピドグレル+SSRIが239例、クロピドグレル+SSRIが45例だった。

 SSRIの中で、citalopram、escitalopram、fluoxetine、フルボキサミン、パロキセチン、セルトラリンを調査対象とした。

 出血エピソードによる入院、AMI再発による入院、死亡、研究期間終了時(2007年8月)まで患者を追跡した。アウトカムは、入院を要した、もしくは追跡中の入院時に発生した出血エピソード(消化管出血、出血性脳卒中、その他の出血)とした。

 ASA単独群よりもASA+SSRI群の方が、高齢で、腎不全合併率、現在のステロイド服用率、指標入院前年の降圧薬・抗うつ薬服用率が高かった。ASA+クロピドグレル群よりもASA+クロピドグレル+SSRI群の方が、高齢で、指標入院前年の血糖降下薬・抗うつ薬服用率、貧血などの血液疾患合併率が高かった。

 8万991例・年の追跡で、出血エピソードは1070例発生した。ベースラインの患者特性で調整後の出血リスクは、ASA単独群よりも何らかの抗血小板薬とSSRIの併用群の方が増大していた(ASA+SSRIのハザード比[HR]:1.42、95%CI:1.08-1.87、ASA+クロピドグレル+SSRIのHR:2.35、95%CI:1.61-3.42)。

 ASA+クロピドグレル群よりASA+クロピドグレル+SSRI群の方が、出血リスクは高かった(HR:1.57、95%CI:1.07-2.32)。

 クロピドグレルによる出血リスクは、ASAの出血リスクと同等だった(HR:1.15、95%CI:0.87-1.51)。クロピドグレル+ASA群では、ASA単独群よりも出血リスクは49%増大していた(HR:1.49、95%CI:1.28-1.75)。
 

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