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Circulation誌から
AFアブレーション施行患者の14%に脳塞栓病変
術前後の頭部MRI像を比較、術中の除細動がリスク因子に

2010/11/09
岸野 美奈子=滋賀県赤十字血液センター

 発作性または持続性の心房細動AF)のために高周波カテーテルアブレーション術を施行した患者を対象に、手術の前日と翌日に頭部MRIを撮影して比較したところ、全体の14%の患者で術後頭部に新たな塞栓病変が認められた。この結果は、Circulation誌10月26日号に掲載された。

 AFに対するカテーテルアブレーション施行数は急増していて、現在では一般的な治療となっているが、合併症として脳卒中のリスクが増加することが挙げられている。これまでの研究をまとめると、症候性の血栓塞栓症の発生率は0.5~0.9%とされている。

 しかし、カテーテルアブレーション後の無症候性脳塞栓の頻度についてはまだほとんどデータが示されていない。アブレーションによる効果とリスクを考える上で、無症候性脳塞栓の頻度を知ることは必要だとして、イタリア・Turin大学の研究者らが今回の研究を実施した。

 対象としたのは、イタリアのCardinal Massaia Hospital、Turin大学など3専門施設で、発作性または持続性のAFのためにカテーテルアブレーションを受けた232例。平均年齢は58±10歳だった。そのうち16例(7%)には脳の血栓塞栓性イベントの既往があり、術前のMRIで病変が認められた。そうした有所見患者も含めて、アブレーション前後での新しい脳病変の有無について比較した。

 周術期に脳血管イベントの症状が見られたのは1例で、臨床的には一過性脳虚血発作(TIA)症状だったが、術後MRIでは左前頭頂葉の皮質に所見が認められた。無症候だったが術後MRIで新たな陽性所見が見られたのは33例(14%)であり、1病変が25例、2病変が3例、3病変が5例だった。病変の大きさは3~35mmとさまざまだった。病変部位は、皮質が25例、小脳が7例、大脳基底核1例だった。

 患者の背景因子について陽性率との相関を見たところ、術中の電気的または薬物的除細動の実施との相関が最も高かった(除細動なしと比較したオッズ比:2.75、P=0.009)。


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