日経メディカルのロゴ画像

Circulation誌から
腹部大動脈瘤血管内治療の成績は例数に比例せず
開腹手術は例数に比例、メディケア受給者を対象とした観察研究

2010/10/15
山川 里香=医学記者

 腹部大動脈瘤AAA)の施設症例数と転帰の関係を調査したところ、開腹手術の場合は症例数が多い病院ほど生存率が高かったが、血管内治療に関しては症例数が増加しても転帰はそれほど向上しなかった。米国メディケア受給者を対象とした観察研究の結果で、Circulation誌9月28日号に掲載された。

 AAAに対する待機的治療法には従来の開腹手術と血管内治療の2つがあり、紹介医の意思決定を困難にしている。一般に紹介先の外科医が術式を決定するため、紹介時点では術式は不明だ。紹介医が紹介先を決定する際、全症例数や術式別症例数をどのように考慮すべきかどうかは明らかでない。

 そこで、米ハーバード大学医学部の研究者らは、2001~06年にAAAの治療を受けたメディケア受給者全員のデータを用いて、施設症例数と治療の転帰の関係、症例数の推移などを調査した。

 本研究では、経時的な推移を考慮できるよう、平均年間症例数を用いて施設症例数を五分位(10例未満、10~17例、18~29例、30~49例、50例以上)に分けた。

 医学的に同等と考えられる非破裂例のみを対象とし、傾向スコアマッチングで集めた01~04年のメディケア受給者症例のサブセットを用いるなどして均質なサンプルを作成し、交絡の影響を最小限にとどめた。対象者は67歳以上とした。

 主要アウトカムは、周術期の死亡率(入院期間内または手術日から30日以内の死亡と定義。他の救急病院への転院を含む)とした。

 01~06年に施行されたAAA治療は、破裂例と非破裂例を合わせて23万736例だった。そのうち、01~04年に施行された4万5660件を、アウトカム解析に組み入れた(傾向スコアでマッチさせた患者2万2830例を含む)。

 いずれの術式の患者も約25%が80歳以上、80%が男性で、約3%は黒人だった。臨床的併存疾患は多く、3分の2が高血圧、15%が糖尿病、約20%が冠動脈疾患だった。

この記事を読んでいる人におすすめ