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J Am Coll Cardiol誌から
VASP指数でPCI患者のクロピドグレル投与量を調節
CYP2C19*2の遺伝子検査よりも血小板活性測定の方が有用

2010/08/30
西村 多寿子=東京大学

 クロピドグレルを代謝活性化する主要な酵素であるチトクロームP450(CYP)2C19の機能欠損アレルである2C19*2の有無にかかわらず、測定した血小板活性に対応してクロピドグレルの初回投与量(loading dose)を増やせば、待機的な経皮的冠動脈インターベンションPCI)後の血栓性合併症リスクを減らせる可能性が示唆された。この検討結果は7月30日、J Am Coll Cardiol誌オンライン版に掲載された。

 常用量のクロピドグレルを投与しても血小板活性の抑制が軽度にとどまるクロピドグレル抵抗性ステント血栓症の要因の1つと考えられており、VASP(vasodilator-stimulated phosphoprotein)による血小板反応性モニタリングの結果に基づき、クロピドグレルの投与量を調整する治療法が試みられている。

 フランスHospital Universitaire Nordの研究者らは、2009年1月~10年1月に非ST上昇型急性冠症候群でPCIが予定されている患者を対象に、2C19多型の検査とVASP指数の測定を行った。

 遺伝子型判定は、血管造影による診断後の採血からDNAを抽出し、2C19野生型ホモ接合体(wt/wt)の保有者群と、機能欠損型アレルである2C19*2(野生型と2C19*2のヘテロ接合体[wt/*2]、ホモ接合体[*2/*2])の保有者群に分類した。

 血小板反応性については、クロピドグレル600mgとアスピリン250mgを初回投与し、投与6~12時間後にVASP指数を測定した。VASP指数50%以上をHTPR(high on-treatment platelet reactivity)と定義し、HTPRの患者にはクロピドグレル600mgの追加投与を最高3回実施した。追加投与はPCIの前に行い、VASP指数が50%未満になれば用量調整の成功例とみなした。

 患者411例の平均年齢は62.9歳、男性の比率78.1%、体格指数(BMI)27.2kg/m2、糖尿病34.8%、高血圧59.1%、喫煙率37.5%だった。クロピドグレル600mg追加投与後のVASP指数の平均±標準偏差(SD)は53.2±23.2%。患者全体の62.5%がHTPRだった。

 遺伝子型判定では、wt/wtの保有者は277例(67.4%)だった。2C19*2の保有者は134例(32.6%)で、うち*2/*2は11例(2.7%)、wt/*2は123例(29.9%)だった(P<0.0001)。
 

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