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Clin J Am Soc Nephrol誌から
末期腎不全患者の厳格血糖管理、効果は限定的
死亡リスクが増加する集団はHbA1cが極端に高値または低値の場合

2010/08/24
西村 多寿子=東京大学

 糖尿病を合併する慢性透析患者を3年間追跡しHbA1cと死亡の関係を検討した観察研究の結果、ベースラインのHbA1cが11%を超える高値または5.0%未満の低値の場合は死亡リスクが増加するが、それ以外は対照群(6.5以上7.0%未満)と有意差はなく、厳格血糖管理を行ってもその効果は限定的であることが示唆された。この結果は7月29日、Clin J Am Soc Nephrol誌オンライン版に掲載された。

 Kidney Disease Outcomes Quality Initiative(KDOQI)のガイドラインは、慢性腎臓病の有無にかかわらずHbA1cの目標値は7%未満とすることを推奨しているが、これは一般的な糖尿病管理基準に沿ったものであり、末期腎不全患者に対する厳格血糖管理のリスクと利益についてはよく分かっていない。

 米国Joslin Diabetes Centerを中心とする研究グループは、末期腎不全患者のデータベースを利用して、糖尿病を合併する慢性透析患者を対象としたコホート研究(主要アウトカムは1年生存率)の結果をすでに発表しており、本研究では同コホートを2005年12月まで追跡した。

 2002年第4四半期のHbA1cのデータが1つ以上ある通院患者について、HbA1c、透析量(eKt/V)、アルブミン、ヘモグロビン、リン、クレアチニン、白血球数、カルシウムのデータを、四半期ごとに最長3年間入手した。

 患者は2万4751例で、うち1型糖尿病が1367例、2型糖尿病が2万3384例だった。ベースラインのHbA1cを5.5%以下、5.5%超6.5%以下、6.5%超7.5%以下、7.5%超8.5%以下、8.5%超の5群に分けて、Kaplan-Meier 曲線で3年間の推移を示したところ、生存率が最も高かったのは8.5%超の群、最も低かったは5.5%以下の群だった(P<0.0001)。

 次に標準Coxモデルと時間依存Coxモデルを用い、ベースライン時のHbA1c(5.0%以下から11.0%超まで0.5%ごとに14群に分類)による死亡ハザード比[HR]を算出した。その際、(1)補正なし、(2)ケース・ミックスによる補正(年齢、性別、人種、透析歴、体表面積を含む)、(3)ケース・ミックス+臨床検査データによる補正(eKt/V、アルブミン、ヘモグロビン、リン、クレアチニン、カルシウム、血管アクセスを含む)を行った。
 

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