経大腿動脈アプローチで自己拡張型人工弁による経皮的大動脈弁置換術(TAVI)を行った場合、手技直後に拡散強調MRI(DW-MRI)検査で脳塞栓が確認された患者は70%を超えていた。だが臨床症状を示した患者はごく一部であり、3カ月間症状が持続した患者は3.6%にとどまった。この結果は2月23日、J Am Coll Cardiol誌オンライン版に掲載された。
重度の大動脈弁狭窄症を有する手術リスクの高い患者に対し、TAVIが新たな治療選択肢として注目されている。ただしTAVIでは手技による脳塞栓の懸念があり、最近の研究ではTAVI後の症候性脳卒中の発生率は0.6~10%と報告されている。
今回の前向きパイロット研究では、ドイツ・ボン大学の研究者らが、TAVIに伴う脳塞栓の発生をDW-MRI検査により調査し、さらに脳損傷の指標となる臨床的・血清学的パラメータがDW-MRI検査の結果と関連するかを検討した。
2008年11月~09年6月に著者らの施設でTAVIの適応となった患者を、本研究の対象とした。TAVI実施前、実施から3日以内(平均:2.2±0.4日後)、および3カ月後(平均:91±5日後)の時点で、DW-MRI検査と、National Institutes of Health Stroke Scale(NIHSS)による神経障害の評価、さらに、梗塞サイズとの関連が示唆されている神経特異的エノラーゼ(NSE)の血中濃度を測定した。
TAVIには18フレンチシースのCoreValve revalving systemを用い、大腿動脈からの逆行性アプローチで、自己拡張性フレームに装着されたブタ心膜組織由来の三尖弁を留置した。
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