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J Am Coll Cardiol誌から
胸部大動脈疾患の血管内治療、開胸術より早期死亡減少
1年後死亡は開胸術と変わらず、非ランダム化研究のメタ解析結果

2010/02/18
小塩 尚代=メディカルライター

 胸部下行大動脈疾患に対するステントグラフト内挿術TEVAR)が、開胸術に比べて死亡率および罹患率を低下させるかどうかを非ランダム化研究のメタ解析で検討したところ、TEVARが開胸術に比べて早期死亡および対麻痺を減少させる可能性が示された。この結果は2月3日、J Am Coll Cardiol誌オンライン版に掲載された。

 胸部大動脈疾患に対する治療選択肢は、少し前まで開胸術か内科的治療に限られていたが、1990年代初期にTEVARが導入されて以来、選択の幅が広がった。しかし、TEVARの利益とリスクに関する評価は遅れており、TEVARと開胸術とを比較したランダム化試験はまだ実施されていない。

 そこでカナダ・ウエスタンオンタリオ大学の研究者を筆頭著者とする北米・欧州の研究グループが、胸部下行大動脈疾患に対するTEVARと開胸術を比較した非ランダム化研究のメタ解析を行い、TEVARで転帰が改善するかどうかを検討した。この研究はEuropean Association of Cardiothoracic Surgeryの委託で実施された。

 90年から2009年3月までのMEDLINE、Cochrane Central Register of Controlled Trials、医療技術評価機関国際ネットワーク(INAHTA)、EMBASE、06~09年の外科の学術集会の抄録を検索し、該当する研究を抽出した。さらに、連邦医薬品局(Federal Drug Administration)のデバイスデータベースを用いて未発表のデータも調査した。

 解析対象は、胸部下行大動脈瘤の成人患者を10例以上含み、転帰を1つ以上報告している研究とした。胸部大動脈瘤以外の大動脈の病態として、解離、破裂、外傷、穿通性大動脈潰瘍、壁内出血も対象とした。

 その結果、42研究(合計5888例)が解析対象となった。内訳は、35研究が単施設、4研究が多施設、3研究がレジストリーからの報告だった。TEVAR群と開胸術群では年齢に有意差が認められ、TEVAR群の方が高齢だった(54±13歳対51±13歳、P=0.001)。

 レジストリー研究のデータとそれ以外の研究のデータには有意な不均一性があり、両者で症例が重複している可能性も高かった。そこでレジストリー研究を除いて、単施設研究と多施設研究を合わせて解析を行った。

 

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