薬剤溶出ステント(DES)留置後の超遅発性ステント血栓症(very late stent thrombosis;VLST、留置後1年以降の発生)の原因が、ステント局所の過敏性反応による血管リモデリングである可能性が示された。スイスのグループによる研究結果で、Circulation誌8月4日号に論文が掲載された。
DES留置後のVLSTの発症機序はいまだ解明されていないが、血管内超音波検査(IVUS)による研究では、血管リモデリングを伴うincomplete stent apposition(ISA)の発生率が高いことが示されている。また、ヒト剖検標本の研究では治癒過程の遅延や過敏性反応が観察されているが、死亡後のデータなので一般化できる可能性が低い。
そこでベルン大学の研究者らは、DES留置後にVLSTを発症した患者から採取した血栓を病理組織学的に解析し、IVUSの所見と関連づけてステント血栓症の発症機序を明らかにしようと試みた。
対象はDES留置後のVLST患者28例(ステント血栓症の定義は全例definite)だったが、その中でIVUSと血栓採取の両方が実施できた10例(11セグメント)の結果が報告された。内訳はシロリムス溶出ステント(SES)5セグメント、パクリタキセル溶出ステント(PES)5セグメント、ゾタロリムス溶出ステント(ZES)1セグメントだった。
10例のステント血栓症発生までの平均期間は1020±283日だった。患者は発生時にアスピリン(100mg/日)を服用していたが、チエノピリジン系抗血小板薬は併用していなかった。
IVUSの結果、ISAは11セグメント中8セグメント(73%)で観察され、最大ISA断面積は平均6.2±2.4mm2だった。リモデリングインデックスは1.6±0.3だった。
循環器プレミアム:新着文献
Circulation誌から
DESのvery lateステント血栓症、原因は遅延型過敏性反応
ステントの不完全圧着の程度と吸引血栓中の好酸球数に相関あり
2009/08/19
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