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N Engl J Med誌から
内視鏡下グラフト採取はCABG後の死亡率を高める
切開採取に比べてグラフト機能不全の発生率も有意に上昇

2009/08/06
難波 寛子=医師

 冠動脈バイパス手術CABG)後の創関連合併症を減らす目的で広く行われている内視鏡下静脈グラフト採取は、直視下の切開採取に比べて、術後の静脈グラフト機能不全や死亡、心筋梗塞、再血行再建の発生率を有意に高めることが明らかになった。この結果は、N Engl J Med誌7月16日号に掲載された。

 本研究は、PREVENT IV(Project of Ex-vivo Vein Graft Engineering via Transfection IV trial)のデータベースを用いて行われた。PREVENT IVは2002~2003年に初回CABGで2本以上のグラフトを留置予定だった患者3014例(18歳~80歳)を対象に、E2F転写因子阻害薬edifoligideの血管閉塞予防効果を見るために実施された第III相試験。初期の2400例に対し、術後12~18カ月で血管造影が行われた。なお、(1)心臓手術の既往歴がある、(2)同時に弁手術が予定されている、(3)冠疾患の原因が動脈硬化以外である、(4)余命5年未満と考えられる合併症がある──患者は除外された。

 PREVENT IVに登録された3014例のうち、グラフト採取術式不明の14例を除く3000例が本研究の対象とされた。うち1753例が内視鏡下採取、1247例が切開採取だった。内視鏡下採取のうち、50例は内視鏡下と切開両方の採取が行われたが、内視鏡下採取として扱った。本研究の解析時点で2913例(97.1%)が3年間の追跡を終了していた。血管造影の対象2400例中、1817例(75.7%;4290本のグラフト)で追跡が行われた。手術から血管造影までの期間の中央値は12.6カ月だった(四分位範囲、12.2-13.4)。

 1次アウトカムは、術後12~18カ月に血管造影で評価された静脈グラフト機能不全と死亡との複合。直径の75%以上の狭窄を静脈グラフト機能不全と定義した。死亡、心筋梗塞、再血行再建の臨床アウトカムがすべての患者について3年間フォローアップされた。

 患者背景としては、切開採取群に比べ内視鏡下採取群でヒスパニック系(1.3%対4.0%)が少なく、黒人(5.4%対3.5%)が多かった(P<0.001)。また、内視鏡下採取群では高血圧が多く(76.7%対72.6%、P=0.01)、体格指数(BMI)が高かった(中央値:29.1対28.5、P=0.02)。2次予防の使用薬剤はクロピドグレルのみ差があり、内視鏡下採取群に多かった(25.2%対17.3%、P<0.001)。

 血管造影の結果、静脈グラフト機能不全、閉塞ともに内視鏡下採取群で多かった(46.7%対38.0% 、P<0.001)。

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