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N Engl J Med誌から
EF≧45%の心不全へのイルベサルタン、予後改善せず
ARBの上乗せ効果の余地が限られていた可能性を著者は指摘、I-PRESERVE試験

2008/12/05
西村 多寿子=東京大学

 心不全患者のおよそ半数は左室駆出率(EF)が保持されている拡張不全型であるが、その病態は左室駆出率が低下している収縮不全型と異なる点が多く、薬物療法も確立していない。しかし、高血圧や左室肥大、心筋の線維化などには、レニン・アンジオテンシン・アルドステロン系が関与していることから、この系の抑制による治療効果が期待されている。

 左室駆出率が保持された心不全患者を対象にアンジオテンシンII受容体拮抗薬ARBイルベサルタンの予後改善効果を検討する大規模試験、I-PRESERVE(Irbersartan in Heart Failure with Preserved Ejection Fraction Study)が行われたが、イルベサルタンの有用性は認められなかった。N Eng J Med誌12月4日号に詳細が掲載された。

 試験は、欧州、北米、南米、南アフリカ、オーストラリアの25カ国293の施設で実施された。対象患者は4128例で、60歳以上、心不全の症候を有し、左室駆出率≧45%、過去6カ月間に心不全で入院しNYHA II~IV度、入院がない場合はIII~IV度とした。ベースライン時の投薬状況は、利尿薬83%(ループ系52%)、β遮断薬59%、Ca拮抗薬40%、スピロノラクトン15%、ACE阻害薬25%であった。

 試験デザインは、1~2週間の単盲検プラセボ投与の後、臨床的に安定していた患者をイルベサルタン群(2067例)とプラセボ群(2061例)にランダムに割り付けた。強制漸増のプロトコールに従って75mg/日から開始し、忍容性があれば1~2週間後に150mg、さらに1~2週間後に300mgに増量した。

 一次エンドポイントは、全死亡と心血管疾患(心不全の悪化、心筋梗塞、脳卒中、不安定狭心症、心室性または心房性の不整脈、すべての入院中の心筋梗塞と脳卒中の発症)による入院で、ランダム化から最初に起こったイベントとした。二次エンドポイントは、一次エンドポイントの各項目、Minnesota Living with Heart Failure scale、NT-proBNP値の変化などとした。

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