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動脈化でも側副血管拡大でもない第三の道
見えてきた冠動脈の側副血管形成メカニズム

2019/03/15

 心筋梗塞による死亡率には、側副血管の発達の有無と程度が大きく関係します。心筋梗塞後に側副血管が発達し広範囲に及んだ症例では、死亡リスクの低下が見られるからです。

 この側副血管形成メカニズムの解明は、心筋梗塞の新たな治療法の開発につながる可能性があります。ところが、研究が進んでいる脳や下肢の側副血管形成メカニズムでは、毛細血管が動脈に変換される「動脈化(arterialization)」説と既に存在する側副血管が拡張する「側副血管拡大(arteriogenesis)」説の2説が提唱されているのに対して、冠動脈では未だに定説がありません。今回、この膠着状態を打破する論文が出ました。Cell誌に発表された論文ですが、冠動脈の側副血管形成のメカニズムは動脈化でも側副血管拡大でもなく、冠動脈特有のメカニズムである「動脈再構築artery reassembly)」が関与することを明らかにしています。

著者プロフィール

古川哲史(東京医科歯科大学難治疾患研究所生体情報薬理学分野教授)ふるかわてつし氏。89年東京医科歯科大学大学院医学研究科博士課程修了。米国マイアミ心臓研究所、マイアミ大学留学を経て、94年東京医科歯科大学難治疾患研究所自律生理分野・助手。99年秋田大学医学部第一生理学講座・助教授、2003年4月より現職。

連載の紹介

古川哲史の「基礎と臨床の架け橋」
臨床医から基礎医学の研究に身を転じた古川哲史氏に、ワンランク上の臨床を実践するために知っておいた方がいい基礎知識を、論文トピックスを材料に解き明かしてもらいます。

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